セッション情報 | Research Forum1炎症性腸疾患の病態と診断 |
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タイトル | RF1-4:重症潰瘍性大腸炎患者に対するシクロスポリン持続静注療法開始直後の末梢血白血球分画の特徴的変動が以後の長期寛解を予測する |
演者 | 勝野 達郎(千葉大学医学部附属病院消化器内科) |
共同演者 | 齊藤 景子(千葉大学医学部附属病院消化器内科), 中川 倫夫(千葉大学医学部附属病院消化器内科), 峯村 荘子(千葉大学医学部附属病院消化器内科), 松村 倫明(千葉大学医学部附属病院消化器内科), 丸岡 大介(千葉大学医学部附属病院消化器内科), 小山田 新(千葉大学医学部附属病院消化器内科), 沖元 謙一郎(千葉大学医学部附属病院消化器内科), 新井 誠人(千葉大学医学部附属病院消化器内科), 横須賀 收(千葉大学医学部附属病院消化器内科) |
抄録 | 【目的】我々はシクロスポリン持続静注療法(CYA)を施行した重症潰瘍性大腸炎(UC)患者の長期予後予測式をJDDW2013にて発表した.ここからCYA開始早期の末梢血白血球分画の変動と長期予後との関連が示唆され検証を行った.【方法】対象は2004年10月から2011年3月まで当院にてCYAを施行した重症UC患者(Lichtiger score≧10)52症例のうち,3ヶ月以内に手術を施行されず2年間以上長期観察症例.エンドポイントは,手術・calcineurin阻害薬・抗TNFα抗体製剤・大量steroidいずれかの施行時であり「再燃」と呼び,その他を「長期寛解」と呼ぶ.CYA施行開始早期の末梢血白血球分画の変動と長期予後との相関について,多重logistic回帰分析にて解析した.【成績】35症例(男性15名,CYA施行時平均年齢34歳)を長期観察できた(平均観察期間145ヶ月).観察中にエンドポイントに至った症例は16例,エンドポイントまでの平均観察期間は40.8ヶ月.CYA開始日をday1とすると,末梢血単球数(実数)は「長期寛解群」ではday3から減少,day7,day14で有意な低下が持続,しかし「再燃群」では有意な変動なし.一方,末梢血リンパ球数(実数)は「長期寛解群」では有意な変動ないが,「再燃群」ではday3から有意に増加,day7,day14まで有意な増加が持続.また,末梢血好中球数(実数)は,「長期寛解群」ではday3で有意に減少,day14には回復,「再燃群」ではday14になり有意に減少.多変量解析の結果,day3の単球数減少,day7のリンパ球数不変,day14の好中球数回復が「長期寛解群」と有意に相関(P<0.0001,AUC=0.908).チオプリン製剤併用の有無は棄却された.【結論】重症UCに対するCYA施行開始直後の末梢血白血球分画の反応性から長期予後を予測でき,治療戦略の構築に有効と考える.この手法は新薬の効果予後予測にも応用できる可能性がある. |
索引用語 |