セッション情報 Research Forum1

炎症性腸疾患の病態と診断

タイトル RF1-5:

UCにおける粘膜治癒マーカーとしての定量的便ヘモグロビン検査:CAIとの併用の有用性について

演者 金岡 繁(浜松医科大学第1内科)
共同演者 栗山 茂(浜松医科大学第1内科), 岩泉 守哉(浜松医科大学第1内科), 杉本 光繁(浜松医科大学第1内科), 大澤 恵(浜松医科大学第1内科), 山田 貴教(浜松医科大学第1内科), 細田 佳佐(聖隷浜松病院消化器内科), 佐藤 嘉彦(聖隷浜松病院消化器内科), 山田 正美(浜松医療センター消化器内科), 吉井 重人(浜松医療センター消化器内科), 中井 勝彦(松田病院外科), 杉本 健(浜松医科大学第1内科)
抄録 【目的】UC診療において粘膜治癒の重要性が認識されている.その判定には大腸内視鏡検査(TCS)が確実な方法であるが,侵襲性や簡便性の点から頻回に行えないのが現状である.CAIは内視鏡所見を評価項目に含まず非侵襲的なindexとして汎用されているが,寛解期と判断されても粘膜治癒が伴わない症例も多い.そこで非侵襲的で簡便な粘膜治癒の代理マーカーの必要性が認識されるが,最近,定量的便ヘモグロビン検査(qFIT)がその可能性をもつと報告された(AJG 2013).今回UC患者のTCS前にqFIT(OCへモディア),採血検査とCAIを行い検討を行ったので報告する.【方法】対象は,前向きに集められた73例,延べ86例のUC患者.TCS当日または前日に採血(CRP,ESR,Hb,Plt,Alb),TCS前日までのCAIスコア,糞便はTCS前5~1日に採便し4℃保存後24h以内にサンプリング施行.TCSによる粘膜評価はMayo内視鏡スコア(0-3)を用いた.【結果】86回のTCSのMayo内視鏡スコアは0:20,1:24,2:27,3:15であった.Mayo内視鏡スコア4群間でCAIスコア,qFITと5つの採血項目いずれも有意差を認め,中でもCAIスコアとqFITのP値が低かった.次にMayo内視鏡スコアと評価項目との相関はすべて有意に相関したが,CAIスコアとqFITは採血検査より高い相関(0.731,0.663)を示した.次にqFIT値を4段階(≦100,≦500,≦1000,1001≦)に階層化したスコア(0-3)とCAIスコアを組み合せるとMayo内視鏡スコアとの相関がより高まった(0.777).Mayo内視鏡スコア2/3の42例中CAI≦4を19例認めたが,うち13例はqFIT≧100であった.【結論】qFITは粘膜治癒の有用な指標になることが再確認され,採血検査よりも大腸粘膜の活動度を反映する.CAIスコアとの併用はその有用性を高め,臨床的寛解を示す症例の内視鏡的活動期症例の拾い上げに有用である.
索引用語