セッション情報 | Research Forum1炎症性腸疾患の病態と診断 |
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タイトル | RF1-8:クローン病手術後妊娠・出産例の臨床的検討 |
演者 | 辰巳 健志(横浜市民病院炎症性腸疾患センター) |
共同演者 | 杉田 昭(横浜市民病院炎症性腸疾患センター), 小金井 一隆(横浜市民病院炎症性腸疾患センター), 二木 了(横浜市民病院炎症性腸疾患センター), 黒木 博介(横浜市民病院炎症性腸疾患センター), 山田 恭子(横浜市民病院炎症性腸疾患センター), 木村 英明(横浜市立大学市民総合医療センター炎症性腸疾患センター), 荒井 勝彦(横浜市民病院炎症性腸疾患センター), 福島 恒男(松島クリニック) |
抄録 | 背景:クローン病(以下CD)は妊娠適齢期に好発する疾患であり,経年的に手術を必要とする症例が増加するため,手術既往のある女性症例での妊娠,出産の機会が多い.しかし本邦ではCD術後症例の妊娠出産の経過に関する報告は少ない.目的:当院におけるCD手術症例の妊娠出産の現状を明らかにし,留意点を検討した.対象・方法:当院でCDの手術を施行後に妊娠出産をした17症例(27妊娠)の妊娠出産の経過をretrospectiveに検討した.結果:妊娠時年齢は33歳(中央値:28-41)で,最も近いCDに対する手術から妊娠までの期間は24ヶ月(中央値:1-185)であった.また妊娠時CDの活動性は寛解期26例,活動期1例であった.妊娠時寛解で妊娠中に再燃した症例は認めなかった.初回の手術適応は腸管の狭窄・閉塞が15例,内瘻が5例,肛門部病変が3例(重複あり)であった.妊娠前に複数回の手術は7例で施行し,肛門部病変のため人工肛門造設術を必要とした症例は2例であったが,妊娠,出産が可能であった.自然流産を3例(8妊娠)に認め,うち1例は妊娠時CDが活動期の症例であった.CDが寛解期であった1例で児が切迫流産,胎児仮死となったものの無事出産可能であった.分娩方法は経膣分娩14例,帝王切開5例であった.分娩時の会陰切開後に4度会陰裂傷をきたし出産後に人工肛門造設を必要とした症例を1例認めた.また帝王切開を施行した理由は肛門部病変が3例,産科的な適応が2例であった.児の異常は低出生体重児が3例,ダウン症が1例であり,15例(78.9%)に異常はなかった.結語:クローン病手術後であっても,妊娠,出産は可能であった.クローン病患者は自然流産,児の異常の発生率が高いため,クローン病の病状,母児の状態を産婦人科と密に連携をとり,妊娠・出産に臨むことが必要であり,適切な治療を行えば正常な妊娠・出産が可能である. |
索引用語 |