セッション情報 Research Forum1

炎症性腸疾患の病態と診断

タイトル RF1-9:

内視鏡で診断し得たクローン病に合併した直腸肛門管癌の特徴

演者 小川 智広(兵庫医科大学病院内科学下部消化管科)
共同演者 戸澤 勝之(兵庫医科大学病院内科学下部消化管科), 西井 謙夫(兵庫医科大学病院内科学下部消化管科), 佐藤 寿之(兵庫医科大学病院内科学下部消化管科), 野上 晃司(兵庫医科大学病院内科学下部消化管科), 河合 幹夫(兵庫医科大学病院内科学下部消化管科), 河野 友彰(兵庫医科大学病院内科学下部消化管科), 松岡 宏樹(兵庫医科大学病院下部消化管外科), 應田 義雄(兵庫医科大学病院内科学下部消化管科), 飯室 正樹(兵庫医科大学病院内科学下部消化管科), 富田 寿彦(兵庫医科大学病院内科学上部消化管科), 内野 基(兵庫医科大学病院下部消化管外科), 樋田 信幸(兵庫医科大学病院内科学下部消化管科), 大島 忠之(兵庫医科大学病院内科学上部消化管科), 福井 広一(兵庫医科大学病院内科学上部消化管科), 堀 和敏(兵庫医科大学病院内科学下部消化管科), 渡 二郎(兵庫医科大学病院内科学上部消化管科), 池内 浩基(兵庫医科大学病院下部消化管外科), 中村 志郎(兵庫医科大学病院内科学下部消化管科), 三輪 洋人(兵庫医科大学病院内科学上部消化管科)
抄録 【背景】近年,クローン病(CD)に合併する癌症例の報告が増加している.そのほとんどが直腸肛門管に発生するため,直腸肛門管に対するサーベイランス検査は重要な課題である.しかし,肛門病変を伴う症例が多いCDでは内視鏡でのサーベイランス検査は困難な場合が多い.【目的】今回,大腸内視鏡検査でCDに合併した直腸肛門管癌と診断し得た症例の内視鏡所見を含めた臨床的特徴に関してretrospectiveに検討した.【対象】2002年1月から2013年9月までに当院において外科的切除後にCDに合併した癌と診断した28例中,術前に大腸内視鏡検査を施行し,癌と診断し得た11症例を対象とした.【結果】11症例の性別は男性8例,女性3例であった.平均初発年齢は25.2歳(15-34歳),発癌までの病悩期間は20.2年(6-31年)であった.癌発生部位は直腸が54.5%(6/11例),肛門管は45.5%(5/11例)であった.肉眼形態は隆起性病変が3例,直腸の狭小化が8例,組織型は高分化腺癌4例,中分化腺癌1例,粘液癌4例,印環細胞癌2例であった.進行度(stage)はstage Iが1例,IIが4例,IIIaが3例,IIIbが2例,不明が1例と約半数がstageIII以降であった.また最近の12年間での癌の発見症例数は2002年から2007年が3例,2008年から2013年9月が8例と増加していた.5年間経過観察が可能であった6症例の生存率は16%(1/6)であった.【結語】術前に内視鏡検査で直腸肛門管癌と診断し得たのは全体の4割程度であった.しかし繰り返しの内視鏡検査で癌と診断し得た直腸・肛門管癌症例もあり,内視鏡検査が困難な高度狭窄症例でも癌合併の可能性を念頭においた積極的なサーベイランス内視鏡検査は予後の改善に重要であると考える.
索引用語