セッション情報 |
Research Forum2
炎症性腸疾患の治療戦略
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タイトル |
RF2-1:クローン病におけるInfliximab倍量投与の有効性と課題の検討
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演者 |
鎌田 紀子(大阪市立大学消化器内科学) |
共同演者 |
宮嵜 孝子(大阪市立大学消化器内科学), 渡辺 憲治(大阪市立大学消化器内科学) |
抄録 |
【目的】クローン病(CD)におけるInfliximab(IFX)倍量投与の包括的な検討はまだ乏しい.今回我々は,客観的指標としての内視鏡所見や血清トラフ値を含め,その有効性や課題,適切なIFX倍量投与の在り方について検討した.【方法】当科で2013年9月までにIFX倍量(10mg/kg)にて計画的維持治療されたCD症例について,倍量投与移行前と移行40週後の臨床的及び内視鏡的有効性,血清IFXトラフ値を比較検討した.臨床的活動性はHarvey-Bradshaw Index(HBI:寛解4以下)とCRPで,内視鏡はSimple endoscopic score for Crohn’s disease(SES-CD)で評価した.【結果】当科でのIFX維持投与226例中35例(15.5%)が倍量投与で,Adalimumabからの移行11例(全例IFX5mg/kg二次無効後にAdalimumabに移行)とIFX5mg/kg二次無効からの移行24例(IFX開始後倍量移行までの期間:3.9±1.2年)だった.全体ではHBI(3.0 vs 3.0)やCRP(0.66 vs 0.36 mg/dl),また内視鏡的評価可能28例の検討でもSES-CD(8.5 vs 7.5)も有意な改善を認めず,免疫調整剤追加ないし増量6例や治験4例,手術2例の対応を要した.IFX倍量投与移行の理由は,臨床的活動性の継続ないし悪化が20例,臨床的活動性不変だが内視鏡的増悪確認が15例で,前者(7.5 vs 8.0)と異なり後者(9.5 vs 7.0)では有意なSES-CDの低下を認めた(p<0.05).全体の65.7%(23/35)は倍量投与継続していたが,血清IFXトラフ測定可能だった20例の検討では,35%(7/20)がトラフ値1μg/ml未満で,全例IFX開始時に免疫調節剤(IM)を併用していない症例であり,IFXトラフ測定感度以下4例中3例が抗IFX抗体陽性であった.また,トラフ値1以上群は1未満群に比べ40週後のHBIが低い傾向にあった(p=0.057).【結論】計画的モニタリングにてaccelerated step up approachの概念で内視鏡的病状悪化が確認された時点でIFXを倍量投与に移行できれば,その後の内視鏡的改善が期待できる.IFX倍量投与でも効果不十分の場合はトラフ値を確認し,倍量投与継続の妥当性を確認すべきである. |
索引用語 |
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