抄録 |
【目的】Infliximab(IFX)トラフ濃度測定(1μ/ml以下)の二次無効早期予測有用性が示唆されているが(J Gastroenterol 2013)リアルタイムの評価に関するコンセンサスはない.【対象&方法】青山内科クリニックのクローン(CD)67例,潰瘍性大腸炎(UC)356例中,IFX治療はCD25例(37.3%)/UC17例(4.8%)を占めるが,トラフ濃度測定(抗IFX Mo抗体centocor Ortho Biotech:EIA法)したCD20例,UC12例を対象とし,CDではLOR(loss of response:CDAI>150)6例(CDAI 257±73,年齢25±8歳,罹病期間3.3±2.5年,IFX治療期間31±9月)MR(maintained remission:CDAI≦150)14例(CDAI 50±22,年齢29±10歳,罹病期間6.9±5.9年,IFX治療期間37±30月),UCではLOR(CAI≧5またはMAYO内視鏡score≧2)4例(CAI 5.8±0.5,年齢48±17歳,罹病期間12.8±10.9年,IFX治療期間20±4月),MR(CAI≦4かつMAYO内視鏡score≦1)8例(CAI 1.0±0.9,年齢40±17歳,罹病期間7.9±3.6年,IFX治療期間22±12月)を各々比較した.【成績】トラフ濃度(μg/ml)はCD,UC共にLORでMRに比して低かった(CD:LOR 0.6±0.5 vs MR 6.6±2.8,P<0.05,UC:LOR 1.6±1.1 vs MR 4.5±2.9,P=0.08).CDではトラフ濃度,CRP値は有意に相関したが2例の乖離例はトラフ濃度のみでLORを予測できた(CRP0.5mg/dl以下トラフ濃度1μg/ml以下).さらにLOR,MR間のトラフ濃度のROC解析ではCDでは2μg/ml,UCでは3μg/mlと両者とも1μg/mlより高く,UCでより高いトラフ濃度を必要とした.CRPのLOR,MR間ROC解析はCDでは0.3mg/dlであった.【結語】UCではCDより低いIFX寛解維持率が示唆されている.UCではStep up,CDではTop downでIFX治療されることが多い結果,治療抵抗例がUCでより多く対象となっている可能性を考慮すべきであるが,より高い濃度を必要とするUCでこそIFX増量/期間短縮対応やチオプリン製剤併用の徹底など二次無効対応が求められる.測定ポイントやATIの問題点にも触れたい. |