セッション情報 |
Research Forum2
炎症性腸疾患の治療戦略
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タイトル |
RF2-9:難治性クローン病患者に対するタクロリムスの有用性について
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演者 |
吉野 琢哉(京都大学医学部附属病院消化器内科学) |
共同演者 |
松浦 稔(京都大学医学部附属病院消化器内科学), 仲瀬 裕志(京都大学医学部附属病院消化器内科学) |
抄録 |
【目的】抗TNF-α抗体製剤の登場により,クローン病の治療法は劇的に変化し,QOLが向上した.一方,抗TNF-α抗体製剤一次・二次無効症例は少なからず存在し,この患者群に対する治療法の確立が今後の課題と言える.今回我々は,難治性クローン病(CD)患者に対するタクロリムス(Tac)の短期および長期治療効果について検討した結果を報告する.【方法】対象は2003年4月から2013年9月までに当院でTac投与を行ったCD患者27名(男性16名,女性11名;年齢中央値34歳).全例においてPSLやThiopurine制剤,抗TNF-α抗体製剤のいずれかの薬剤に抵抗性を認めた.病型は,小腸型8名,小腸大腸型21名であり,disease behaviourは狭窄型7名,穿通型6名,肛門部病変合併4名であった.Tacは0.1mg/kg/dayから内服投与を開始し,寛解導入の目標血中troughは10-15ng/ml,寛解維持では5-10ng/mlと設定した.疾患活動性評価はCrohn’s Disease Activity Indexを用い,150点未満を寛解,治療前と比較し70点以上の低下を改善と定義した.改善率,寛解率および維持率について検討した.【結果】(1)Tac投与後16週時における改善率は66.7%であった.Tac投与後4週,8週,16週時寛解率は,各々22.2%,33.3%,48.1%であった.またKaplan Meier法による累積寛解維持率は,平均観察期間74.8ヶ月で50.1%であった.(2)Tac投与により寛解が得られたCD患者15名中4名(26.7%)は抗TNF-α抗体製剤無効症例であった.(3)Tac投与による寛解導入が困難であった症例12名中10名(83.3%)は,抗TNF-α抗体製剤投与により寛解導入が可能となった.(4)27名中3名(11.1%)にTac投与による有害事象を認めた.その内訳は,腎機能障害2名,嘔気1名であった.【結語】抗TNF-α抗体製剤をはじめとする内科的治療に抵抗性のクローン病患者において,Tac投与は考慮すべき治療法の一つであることが示唆された. |
索引用語 |
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