セッション情報 Research Forum3

肝炎の病態と内科治療

タイトル RF3-3:

DAA時代における難治性症例の対策:IFN併用とIFNフリーとの選択法

演者 内田 義人(埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科)
共同演者 神山 淳一(埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科), 持田 智(埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科)
抄録 【目的】C型慢性肝炎の治療はシメプレビルの導入で安全性が向上する.また,NS5A阻害薬も利用可能となり,経口2剤も選択肢に加わることが期待される.しかし,その際にNA5Aの耐性変異が問題となり,genotype 1b株では約20%にY93Hの変異が認められる.変異を有する症例では経口2剤でのSVR率が低く,IFN併用療法も考慮すべきである.Y93Hは1塩基変異で生じ,近傍の7塩基には耐性に無関係の変異が2ヶ所で見られ,うち1ヶ所は全ての塩基を呈し得る.このためY93Hの検出には塩基配列の直接解析が必須であった.そこで,サイクリングプローブ法を用いて,臨床検査に利用できる簡易迅速判定法を確立した.【方法】1b型のHCV感染9例の保存血清で,HCV-RNAの塩基配列をダイレクトシークエンスで決定した.一方,NS5A Y93を含む配列を標的としてプライマーを設計し,4種類のサイクリングプローブを用いてリアルタイムPCRを実施した.陽性標準として作成した野生株と変異株の人工合成遺伝子8 Log copies/mLを10倍段階で希釈し,検出感度を評価した.【成績】シークエンス法でY93H変異が認められた検体と,野生型と変異型の混合検体は,何れもサイクリングプローブ法で野生型と変異型がともに検出できた.また,野生型のみの7検体は,サイクリングプローブ法でも全てが野生型として検出された.野生株,変異株とも2~8 Logの範囲で定量可能で,混合検体でも野生株,変異株のHCV-RNA量を区別して定量可能であった.【考案と結語】サイクリングプローブ法によって簡便迅速にNS5AのY93H変異を高感度に定量評価できた.データベースによると1b型HCV株の85%は今回利用した4種のプローブで解析可能である.しかし,15%ではY93近傍に稀な変異が存在し,その際は別4種プローブを用いた第2段階,更に別8種プローブによる第3段階の解析で,全例での定量が可能となる.本検査法はIFNフリーの治療法における難治例の検出に有用と考えられた.
索引用語