セッション情報 Research Forum3

肝炎の病態と内科治療

タイトル RF3-6:

生体肝移植後C型肝炎再発に対する多角的治療戦略

演者 池上 徹(九州大学消化器総合外科)
共同演者 調 憲(九州大学消化器総合外科), 前原 喜彦(九州大学消化器総合外科), 副島 雄二(九州大学消化器総合外科), 吉住 朋晴(九州大学消化器総合外科), 内山 秀昭(九州大学消化器総合外科), 山下 洋市(九州大学消化器総合外科), 二宮 瑞樹(九州大学消化器総合外科), 井口 友弘(九州大学消化器総合外科), 播本 憲史(九州大学消化器総合外科), 池田 哲夫(九州大学消化器総合外科), 川中 博文(九州大学消化器総合外科), 森田 勝(九州大学消化器総合外科), 沖 英次(九州大学消化器総合外科), 佐伯 浩司(九州大学消化器総合外科), 吉屋 匠平(九州大学消化器総合外科)
抄録 (はじめに)C型肝炎に対する生体肝移植後の肝炎再発は必発であるが,免疫抑制剤投与下での治療は容易ではない.(対象と方法)当科においてC型肝炎に対して生体肝移植を施行した174例を対象とし,(I)ペグインターフェロン・リバビリン療法の成績と治療効果予測,(II)テラプレビルを含む三剤併用療法の成績,(III)胆汁鬱滞性肝炎の診断と治療,(IV)インターフェロン誘導性グラフト障害の診断と治療に関して検討を行った.(結果)(I)105例(1型87例,2型12例)にペグインターフェロン・リバビリン療法を行い,SVRは56例(53.3%)に得られた.I型症例に於いてSVRと関連する因子の解析を行ったところ,ドナー・レシピエントのIL28B(rs8099917)がT/Tであることが最も有意な因子として検出された.(II)テラプレビルを含む三剤併用療法は9例に施行した.すべてI型HCVであり,1例を除く全症例が前治療無効例であった.テラプレビルは1500mgに減量,サイクロスポリンは25%に減量にて投与し,SVR率は88.9%であった.(III)特殊型肝炎として組織学的に細胞浸潤を伴わず肝細胞バルーニングを特徴とする胆汁鬱滞性肝炎を5例に発症したが,全例で上記治療にてVRが得られた.移植後2週間目のHCV-RNA>7.2 logIU/mLは胆汁鬱滞型再発の危険因子であった.(IV)抗ウイルス治療中あるいは終了後にインターフェロン誘導性グラフト障害を8例に発症した.組織学的には4例が形質細胞性肝炎,2例が急性拒絶,2例が慢性拒絶であり,慢性拒絶以外の6例はステロイドパルス等の免疫抑制強化により治療できたが慢性拒絶に至った2例はグラフト死亡となった.(まとめ)生体肝移植後C型肝炎再発に対する抗ウイルス治療の成績は様々な工夫により向上してきたが,胆汁鬱滞性肝炎やインターフェロン誘導性グラフト障害など様々な病態に対応できることが必要である.
索引用語