セッション情報 Research Forum3

肝炎の病態と内科治療

タイトル RF3-7:

ウイルスジエノタイプ・塩基変異から見た難治性C型肝炎治療の展望

演者 神田 達郎(千葉大学消化器・腎臓内科学)
共同演者 中本 晋吾(千葉大学分子ウイルス学), 呉 霜(千葉大学消化器・腎臓内科学), 中村 昌人(千葉大学消化器・腎臓内科学), 宮村 達雄(千葉大学消化器・腎臓内科学), 姜 霞(千葉大学消化器・腎臓内科学), 横須賀 收(千葉大学消化器・腎臓内科学)
抄録 【背景と目的】C型肝炎に対する治療はペグインターフェロン,リバビリンとDAA製剤を用いた3剤併用療法が主体となり,DAAの組み合わせによる経口薬剤のみの治験も行なわれ良好な成績が報告されている.一方,ウイルスジエノタイプ(GT)や薬剤耐性変異が治療効果に影響を与えることが知られている.DAA-Na?ve患者を対象にウイルスジエノタイプ,薬剤耐性変異を検討した.【対象と方法】1)GT1慢性C型肝炎患者80例を対象に,治療前の血清からHCV RNAを抽出し,NS5B領域にMGB probeを設定したリアルタイムPCRを用いたサブジエノタイピングを行なった.2)Sanger法,Ultra-deep sequence法を用いてProbe領域を解析した.3)NS3プロテアーゼ阻害剤耐性変異およびNS5A阻害剤耐性変異をSanger法で検討した.4)NS5A93番アミノ酸変異に関してパブリックデータベースから得られたGT1a 180例,GT1b 239例で塩基/アミノ酸レベルで検討した.【成績】1)本邦のGT1に占めるGT1aは1.2-2.5%であり,従来の報告とほぼ一致していた.2)リアルタイムPCR法ではProbe領域に変異が入ると診断が難しくなる場合があることをUltra-deep sequenceにより詳細を明らかにした.3)NS3プロテアーゼ阻害剤耐性変異が28例で検出され,テラプレビル3剤併用療法無効の1例でV170Y,5例の再燃例でQ80Lがそれぞれみられた.一方,NS5A Y93Hは12.5%にみられた.4)NS5A93番アミノ酸の検討ではGT1aおよびGT1bでTAY/Tyr:AAC/Asn:TTT/Phe:CAC/Hisが176:2:1:1(例)およびTAY/Tyr:YAC/Tyr,His:CAC/Hisが233:3:3(例)でそれぞれみられた.【結論】本邦ではGT1に占める耐性変異をより多く生じ易いGT1aの頻度は低いことが再確認された.NS3領域のプロテアーゼ阻害剤に対する耐性変異は一部のDAA難治患者でみられた.NS5A Y93H変異はGT1b患者により高頻度に見られNS5A阻害剤使用時の検討課題の一つであると考えられた.
索引用語