セッション情報 |
Research Forum4
NAFLDの病態
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タイトル |
RF4-2:生活習慣病の治療効果とNAFLD肝組織像の変化についての検討
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演者 |
山田 和俊(金沢大学消化器内科) |
共同演者 |
水腰 英四郎(金沢大学消化器内科), 金子 周一(金沢大学消化器内科) |
抄録 |
【背景】非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は肥満,糖尿病,脂質異常症などの生活習慣病を伴うことが多い.治療は食事・運動療法など生活習慣の改善に加え,合併する生活習慣病に対する治療も重要とされているが,生活習慣病に対する治療が肝組織の変化に与える影響については報告が少ない.今回我々は複数回肝生検を施行したNAFLD症例を用いて,生活習慣病の治療効果と肝組織の変化に関連について検討した.【方法】対象は当施設にて肝生検を施行されNAFLDと診断された症例のうち,1年以上の期間を経て複数回にわたり肝生検を施行しえた65例(平均観察期間45.5ヶ月)とした.初回肝生検時と直近の肝生検時における肝組織像を線維化,肝脂肪化,肝組織炎症,肝細胞膨化の4項目で評価し,それぞれのスコアの変化と臨床検査所見の変化値の相関を評価し,組織の変化と関連する項目について検討した.【結果】合併症の罹患率は肥満76.9%(50/65),糖尿病72.3%(47/65),脂質異常症75.3%(49/65),高血圧症38.4%(25/65)であり,これら生活習慣病の有無と肝組織像に有意差は認めなかった.肝組織像の変化と臨床検査所見の変化の検討では,肝線維化の改善がHbA1c,AST,ヒアルロン酸の低下と有意に相関していた.一方,肝組織炎症の改善はBMI,AST,ALT,HbA1cの低下,HDLの増加と有意に相関していた.また,肝脂肪化の改善はBMI,AST,ALT,HbA1cの低下と相関を認め,肝細胞膨化はASTの低下と相関を認めた.多変量解析による検討では,肝線維化の改善とHbA1cの低下が,肝組織炎症の改善とBMIの低下がそれぞれ有意な相関を認めた.【結語】肝線維化は糖尿病の改善と,肝組織炎症は肥満の改善と関連していた.生活習慣病に対する介入を行うことでNAFLDにおける肝組織像も改善することが示唆された. |
索引用語 |
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