セッション情報 Research Forum4

NAFLDの病態

タイトル RF4-4:

非アルコール性脂肪性肝疾患における耐糖能異常合併に関する検討

演者 谷合 麻紀子(東京女子医科大学消化器内科)
共同演者 徳重 克年(東京女子医科大学消化器内科), 橋本 悦子(東京女子医科大学消化器内科)
抄録 【目的】非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の基盤となる病態で,最も重要なのはインスリン抵抗性である.今回NAFLDにおけるインスリン抵抗性・耐糖能異常の実態や病態との関連を明かにすることを目的とした.【対象と方法】2003年から2013年に当科で肝生検を施行し診断されたNAFLDのうち下記1)2)に欠損値のない401例(年齢中央値53歳,女性56%)を対象とした.糖代謝関連検査では,1)空腹時血糖(FBS),随時血糖(CBS),ヘモグロビン(Hb)A1cを全例で,2)適応症例に関して血清免疫反応性インスリン(IRI),75g経口糖負荷試験(OGTT)を検討した.可能例ではメドトロニック社製iPro2による持続血糖測定(CGM)を実施した.糖代謝関連検査値と臨床検査値,CTで評価した内臓脂肪面積,肝組織所見との関連を検討した.【成績】対象401例中入院時までに糖尿病(DM)と診断されていた既診断例は258例で,DMなしとされた143例でOGTTを施行し,DM型20例14%,境界型54例38%,正常型69例48%と判定された.HOMA-Rはインスリン非投与でFBS140mg/dl以下の298例で評価され,正常域(1.6未満)62例21%,明らかなインスリン抵抗性有り(2.5以上)161例54%であった.既診断258例とOGTTでDM型の20例を合計した278例をDM群とし,境界型・正常型と比較すると,DM群は高齢(肝生検時年齢中央値57/51/46歳),女性(55/35/33%)と肝線維化進行例(F3以上45/33/20%)が多かった.境界型と正常型2群での多変量解析では,高齢,HOMA-IR2.5以上,高内臓脂肪面積,肝線維化進行が境界型の独立危険因子として抽出された.境界型か正常型を呈しDMに対する薬物治療無しでCGMを測定したのは17例で,うち6例(35%)で夜間60mg/dl以下の低血糖を認め,インスリン抵抗性亢進例の特徴的所見を呈した.【結論】NAFLDではDM非診断例の半数以上で耐糖能障害やインスリン抵抗性を合併し,耐糖能障害と肝線維化進行に相関を認めた.CGMにてDM非合併NAFLDの35%でインスリン抵抗性亢進に特徴的な夜間低血糖を認めた.
索引用語