セッション情報 | Research Forum4NAFLDの病態 |
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タイトル | RF4-7:2型糖尿病の心血管イベントおよび悪性腫瘍発症における脂肪肝の影響~10年間の前向き研究~ |
演者 | 織部 淳哉(大分大学消化器内科学講座) |
共同演者 | 清家 正隆(大分大学消化器内科学講座), 岩尾 正雄(大分大学消化器内科学講座), 正 宏樹(大分大学消化器内科学講座), 所 征範(大分大学消化器内科学講座), 吉原 光江(大分大学消化器内科学講座), 西村 順子(大分大学消化器内科学講座), 遠藤 美月(大分大学消化器内科学講座), 本田 浩一(大分大学消化器内科学講座), 阿部 信行(内科阿部医院), 村上 和成(大分大学消化器内科学講座) |
抄録 | 【目的】糖尿病は血管病変をはじめとしたさまざまな合併症を引き起こし,消化器系においても脂肪肝や癌との関連が報告されている.当科ではこれまで2型糖尿病患者の長期観察において脂肪肝と心血管疾患や悪性腫瘍合併について調べてきたが,観察開始後約10年間が経過したのでその結果を報告する.【方法】対象は2003年度に糖尿病専門クリニックで腹部エコーを施行された2型糖尿病患者670名(男性423名,女性247名,平均67.2歳).脂肪肝(NFL群)は300例,非脂肪肝(FL群)は370例であり2004年4月から2013年9月まで経過を追った.そのうち通院中断,ウイルス性肝疾患,30歳未満,80歳以上の症例を除いた437例(FL群202例,NFL群235例)を選別した.消化器系悪性腫瘍発症や脂肪肝の有無による心血管イベントの発症や寄与する因子を調べた.検討項目は年齢,性別,BMI,HbA1c,AST,ALT,γGTP,飲酒,高血圧,高脂血症合併,糖尿病合併症,糖尿病罹病期間,インスリン,SU剤,ビグアナイド投与についてで,統計学的検討はχ二乗検定,Logistic回帰分析を用いた.【結果】心血管イベントはFL群15例(7.4%),NFL群22例(9.4%)で有意差はなかった.NFL群とFL群における心血管イベントに寄与する因子はNFL群では年齢70歳以上が,FL群ではALT30IU/L以上が抽出された.消化器系悪性腫瘍は21例(4.8%)で,発症にはγGTP60IU/L以上が寄与していた.【結論】糖尿病患者における消化器系悪性腫瘍の合併にはγGTPが関連している可能性が示唆された.また,脂肪肝を合併した糖尿病患者ではALT30IU/L以下への管理が心血管イベントの予防に重要であることが示唆された.脂肪肝合併糖尿病と非合併糖尿病では背景が治療因子を含め,著しく異なるため,今後それぞれの群において予後危険因子の解析することが現実的である. |
索引用語 |