セッション情報 Research Forum4

NAFLDの病態

タイトル RF4-9:

肝発癌に関連する生活習慣病の検討

演者 平松 憲(広島大学消化器・代謝内科)
共同演者 兵庫 秀幸(広島大学消化器・代謝内科), 菅 宏美(広島大学消化器・代謝内科), 中原 隆志(広島大学消化器・代謝内科), 相方 浩(広島大学消化器・代謝内科), 米田 正人(横浜市立大学消化器内科), 角田 圭雄(京都府立医科大学消化器内科), 江口 有一郎(佐賀大学肝臓・糖尿病・内分泌内科), 藤井 英樹(大阪市立大学肝胆膵内科), 小野 正文(高知大学医学部消化器内科), 川口 巧(久留米大学病院消化器病センター), 今城 健人(横浜市立大学消化器内科), 岡上 武(済生会吹田病院), 茶山 一彰(広島大学消化器・代謝内科)
抄録 【目的】わが国では,NBNC肝癌が増加しているが,その背景には肥満,糖尿病,脂質異常症,高血圧などのメタボリックシンドロームが関与しており,メタボ肝癌として位置づけられる.今回,肝発癌と関連がある非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の背景因子の検討とNBNC肝癌の背景因子の検討を行った.【方法】(1)2001-2012年までに多施設共同研究(Japan Study Group of NAFLD)にてデータを集積したNAFLD1800例を対象に,生活習慣病の合併と肝組織の関係を検討した.(2)1992-2011年までに当科で診断した初発肝癌1441例のうち,NBNC肝癌243例の臨床的背景を検討した.【結果】(1)線維化は,男性ではF0/1/2/3/4;22.6/34.1/26.7/14.5/2.1(%),女性ではF0/1/2/3/4;16.2/31.7/23.9/21.6/6.6(%)であった.生活習慣病の合併頻度は,脂質異常症71.8%,高血圧39.4%,糖尿病45.7%,IGT(耐糖能異常)14.1%であった.BMI高値,高齢,耐糖能異常進展に伴い線維化進展例が多くなり,特に女性で顕著であった.多変量解析にて,線維化進展の危険因子として糖尿病が抽出された(OR=2.86,p<.0001).当院でのNAFLD200例の検討では,歯周病菌陽性率は4割で,有意に線維化進展に寄与していた.(2)1992年から,4年毎のNBNC肝癌の割合をみると,各々9/11/9/18/24%で,多飲者62%,糖尿病53%,高血圧46%,脂質異常症39%,HBc抗体陽性46%,画像上脂肪肝17%と生活習慣病の合併が多く見られた.【結論】NAFLDのみならずNBNC肝癌の背景には,メタボリック因子,更には歯周病が関与している可能性がある.従って,併存する生活習慣病管理とともに,口腔を含めた消化管細菌叢の管理を行うことが肝発癌抑止に重要である.
索引用語