セッション情報 Research Forum4

NAFLDの病態

タイトル RF4-10:

肝生検にて診断したNAFLDからの発癌,予後に寄与する因子の検討

演者 瀬古 裕也(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学)
共同演者 角田 圭雄(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 田中 斉祐(市立奈良病院消化器肝臓病センター), 竹谷 祐栄(市立奈良病院消化器肝臓病センター), 石破 博(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 岡嶋 亮(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 西村 健(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 山口 寛二(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 光吉 博則(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 南 祐仁(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 安居 幸一郎(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 伊藤 義人(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学)
抄録 【目的】近年NAFLDの発癌率,予後が明らかになりつつあるが,発癌や予後に寄与する因子は明らかにされていない.肝生検にて診断したNAFLDからの発癌率,生存率およびそれらに寄与する因子につき検討した.【方法】1999年1月から2012年12月までに肝生検にてNAFLDと診断した277例を対象とした.肝細胞の風船様腫大,Mallory-Denk体,線維化のいずれか一つの所見を認めるものをNASHとし,線維化の程度はBrunt分類に従い分類した.NASH155例,NAFL122例,年齢57歳(以下中央値),男性/女性:142/135,観察期間4.1年.【結果】1)NASH群は,男性/女性:59/96,年齢61歳,線維化stage 0/1/2/3/4:2/76/42/24/11であった.NAFL群は,男性/女性:83/39,年齢51歳であった.2)肝発癌を4例(1.44%)に認め,発癌率は5年0.01%,10年0.03%であった.単変量解析ではNASH,AST/ALT比≧0.8,血小板数<15万/μl,IV型コラーゲン7S≧5ng/ml,NAFICスコア≧2,FIB4 index>2.67,線維化stage≧3,線維化stage/NAS(steatosis)比≧1が抽出された.多変量解析では血小板数<15万/μl(ハザード比17.9,p=0.019)が抽出された.3)死亡は8例あり,累積生存率は5年97.94%,10年91.75%であった.NASH群は6例(3.9%)が死亡し,肝疾患関連死1例,他臓器癌4例,脳血管障害1例であった.NAFL群は2例(1.6%)が死亡しいずれも他臓器癌であった.単変量解析では70歳以上,LDLコレステロール≧140mg/dl,血小板数<10万/μl,IV型コラーゲン7S≧5ng/ml,FIB4 index>1.3,線維化stage≧3が抽出された.多変量解析ではIV型コラーゲン7S≧5ng/ml(ハザード比4.96,p=0.05)が抽出された.【結語】NAFLDからの発癌,予後には肝生検時点での線維化の程度が最も強く寄与していることが示唆された.線維化進行例では肝細胞癌のみならず他臓器癌も念頭においたサーベイランスが必要と思われる.
索引用語