セッション情報 Research Forum5

肝癌の内科・外科治療

タイトル RF5-2:

進行肝細胞癌の治療選択における動注化学療法効果判定

演者 大山 賢治(鳥取大学医学部附属病院がんセンター)
共同演者 孝田 雅彦(鳥取大学医学部機能病態内科学), 岡本 敏明(鳥取大学医学部機能病態内科学), 三好 謙一(鳥取大学医学部機能病態内科学), 木科 学(鳥取大学医学部機能病態内科学), 藤瀬 幸(鳥取大学医学部機能病態内科学), 程塚 正則(鳥取大学医学部機能病態内科学), 杉原 誉明(鳥取大学医学部機能病態内科学), 徳永 志保(鳥取大学医学部機能病態内科学), 植木 賢(鳥取大学医学部機能病態内科学), 岡本 欣也(鳥取大学医学部機能病態内科学), 法正 恵子(鳥取大学医学部機能病態内科学), 岡野 淳一(鳥取大学医学部機能病態内科学), 村脇 義和(鳥取大学医学部機能病態内科学)
抄録 【目的】進行肝細胞癌に対する動注化学療法(TAI)の有効例は無効例と比較して生存率が良好で,無効例は他治療へ早期変更が必要である.今回,TAI後腫瘍マーカーの早期反応により適切な治療選択が可能か検討した.【方法】2004年から2012年に4剤(CDDP 25mg,5-FU 500mg,MMC 6mg,Epirubicin 30mg)のone shot TAIを施行した肝細胞癌93例を対象とした.93例にはその後も4剤TAIやlow dose FP療法を行った.1週後,1ヶ月後のAFPとPIVKA-IIのone shot TAI前値に対する変化率を後向きに解析し,6ヶ月後の効果判定と比較した.【結果】判定はCR6例,PR11例,SD19例,PD57例で,CR+PR 18.3%であった.生存期間中央値はCR+PR 42ヶ月,PR+PD 11ヶ月であった.AFP変化率は,1週後CR 0.67,PR 0.93,SD 1.03,PD 1.17,1ヶ月後CR 0.18,PR 0.67,SD 0.92,PD 1.82,PIVKA-II変化率は1週後CR 0.46,PR 1.16,SD 1.03,PD 1.31,1ヶ月後CR 0.22,PR 0.76,SD 0.89,PD 2.00であった.AFP,PIVKA-IIとも1週後でCR+PRはSD+PDと比較し低下傾向,1ヶ月後では有意に低下していた(p<0.05).CR+PRの感度と特異度は,1ヶ月後AFP変化率のcut off値1.02で82%,72%,1ヶ月後PIVKA-II変化率のcut off値0.61で80%,75%であった.慢性肝炎とChild-Pugh A肝硬変に限定するとCR 9%,CR+PR 25%で,CR+PRの感度,特異度は,1ヶ月後AFP変化率のcut off値0.53で93%,67%,1ヶ月後PIVKA-II変化率のcut off値0.52で78%,73%となった.CRの感度,特異度は1ヶ月後AFP変化率のcut off値0.47で90%,80%,1ヶ月後PIVKA-II変化率のcut off値0.45で78%,83%であった.【結論】TAI効果予測に1週後と1ヶ月後のAFP,PIVKA-II変化率は有用で,有効例の囲い込みに役立つことが示された.One shot TAIによる腫瘍マーカー変化率は,進行肝細胞癌の治療選択に役立つと考えられる.
索引用語