セッション情報 Research Forum5

肝癌の内科・外科治療

タイトル RF5-3:

進行肝細胞癌に対するソラフェニブと持続肝動注化学療法におけるpropensity score matchingを用いた比較検討

演者 塩澤 一恵(済生会横浜市東部病院消化器内科)
共同演者 渡邉 学(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 池原 孝(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 永井 英成(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 石井 耕司(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 大久保 雄介(済生会横浜市東部病院消化器内科), 森 孝之(済生会横浜市東部病院消化器内科), 牧野 博之(済生会横浜市東部病院消化器内科), 五十嵐 良典(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 住野 泰清(東邦大学医療センター大森病院消化器内科)
抄録 【目的】進行肝細胞癌(ad-HCC)治療において,ソラフェニブ(So)と持続肝動注化学療法(HAIC)のいずれを選択するかは議論の分かれるところである.今回,われわれはSoまたはHAICが施行されたad-HCC症例に対してpropensity score matching(PSM)法を用いて,ad-HCCにおける適切な治療法の選択について検討した.【対象と方法】東邦大学医療センター大森病院で加療されたad-HCCの中で2009年6月~2013年6月までにSoが開始された47例(So群),2003年5月~2010年12月までにHAICが施行された77例(HAIC群)を対象とした.局所治療による前治療や併用治療は含むが,SoとHAIC併用症例は除外した.各群において,治療開始時の年齢,性別,背景肝,Child-Pugh分類,BCLC stage,Stage,前治療の有無,AFP,AFP-L3,DCP,脈管浸潤の有無,遠隔転移の有無の12因子について統計学的検討を行ない,さらに年齢,性別,背景肝,Child-Pugh分類,BCLC stage,前治療の有無,AFP,DCPの8項目をPSM法によりマッチングさせ検討した.【結果】PSM前では,So群で脈管侵襲なし・遠隔転移あり,HAIC群でStageIII,PSM後(各40例)では,HAIC群で脈管侵襲ありが有意に多かった.生存期間の中央値(MST)は,PSM前/後:So群9.4/9.4ヶ月,HAIC群10.9/9.3ヶ月,1年生存率は,PSM前/後:So群38.2/36.2%,HAIC群47/36.2%.PSM前後でSo群とHAIC群のMSTおよび生存率に有意差は認めなかった.同じStageにおける両群間のMSTは,PSM前ではStageIII,IVA,IVBいずれも有意差は認めず,PSM後ではIVBにおいてSo群で有意にMSTの延長を認めた.【結語】PSM前後でSo群,HAIC群のMSTに有意差は認めなかったが,PSM後StageIVBのSo群において有意にMSTの延長を認めた.StageIVBつまり遠隔転移を有する症例では積極的にSoの導入を検討する必要性があると考えられた.
索引用語