セッション情報 Research Forum5

肝癌の内科・外科治療

タイトル RF5-5:

肝切除不能門脈腫瘍浸潤(Vp3/4)合併進行肝細胞癌(HCC)に対するソラフェニブと放射線治療に関する傾向スコア推定法を用いた予後分析

演者 中澤 貴秀(北里大学医学部消化器内科学)
共同演者 日高 央(北里大学医学部消化器内科学), 奥脇 裕介(北里大学医学部消化器内科学), 田中 賢明(北里大学医学部消化器内科学), 高田 樹一(北里大学医学部消化器内科学), 南野 勉(北里大学医学部消化器内科学), 渋谷 明隆(北里大学医学部消化器内科学), 小泉 和三郎(北里大学医学部消化器内科学)
抄録 【目的】Vp3/4合併進行HCCは予後約3か月と極めて不良でありその治療は限られている.今回我々は肝機能をChild-Pugh Aに限定し,ソラフェニブと放射線治療(RT)のVp3/4合併進行HCCに対する予後について傾向スコア推定法を用いて分析した.【方法】2009年から2012年5月までに神奈川リバースタディで集積されたソラフェニブ治療例は40例であった(男/女33/7例,Child-Pugh A/B 36/4例).一方,1999年から2012年8月までに当院で実施された単独RTは57例であった(男/女45/12例Child-Pugh A/B 34/23例).両治療群の臨床的背景を傾向スコア推定法でマッチングさせ予後解析を行った.【結果】ソラフェニブ治療群の年齢中央値71歳(49-85).Vp3/4:33/7例.肝外病変あり7例.治療前AFP(ng/ml):903(3-589,420),PIVKA-II(mAU/ml):2915(19-893,000).ソラフェニブ初回導入量800/400mg:21/19例.PS 0/1/2:23/16/1例.服用期間中央値41日(7-400).全生存期間中央値:4.3ヵ月(0.7-17.3).一方RT群の年齢中央値66歳(33-80).Vp3/4:35/22例.肝外病変あり8例.治療前AFP(ng/ml):91(2-470,000),DCP(mAU/ml):352(8-233,000).総照射線量中央値は50 Gy(10.8-56)であった.全生存期間中央値は5.9ヵ月(0.6-103)であった.臨床背景をChild-Pugh Aのみとし傾向スコア推定法で調整すると(両群各28例),ソラフェニブ群では全生存期間中央値:4.8ヵ月(0.7-17.5)であったが,RT群では10.9ヵ月(2.6-102.7)と有意に生存期間の延長が認められた(log-rank test:P=0.025).Cox比例ハザードモデルによる予後寄与因子の検討では治療前DCP値<1000 mAU/ml(P=0.024)および治療がRTであること(P=0.007)が有意な独立因子であった.【結語】Vp3/4合併進行HCCに対するfirst line therapyとしてソラフェニブ単独治療よりもRTが有用と考えられた.
索引用語