セッション情報 |
Research Forum5
肝癌の内科・外科治療
|
タイトル |
RF5-10:肝癌術後合併症の術前予測における予後栄養指数(PNI)の有用性に関する検討
|
演者 |
永田 茂行(社会保険仲原病院) |
共同演者 |
内山 秀昭(福岡市民病院), 磯 恭典(社会保険仲原病院), 竹中 賢治(福岡市民病院) |
抄録 |
【目的】術前の低栄養状態状態を評価することは術後合併症の発生率の低減や予後の改善に有用である.小野寺らは簡便な栄養評価法である予後栄養指数(PNI:prognostic nutritional index=10×ALB値+0.005×リンパ球数)を用いて消化管手術においてPNI≦40症例は切除吻合禁忌であると報告している.今回肝切除患者における術後合併症発生予測としてPNIの有効性について検討した.【方法】2004年12月から2011年3月に福岡市民病院で原発性肝癌に対して肝切除を施行した259例(年齢:38-87歳,男:女=205:54)を対象とした.患者をPNIに基づいて2群に分けて背景因子(BMI,糖尿病,米国麻酔学会術前状態分類(ASA),Child-Pugh分類,肝障害度,再発例),手術因子(術式,手術時間,出血量,輸血率),術後合併症発生頻度,術後在院日数に関して検討した.【成績】全症例中96例に合併症が発生した(Clavien-Dindo分類III以上は13例).合併症群では非合併症群に比べ,PNIは有意に低かった(43.3±0.6 vs 47.3±0.4,p<0.0001).単変量解析の結果,ASA3度,血清アルブミン値,総ビリルビン値,末梢血リンパ球数,プロトロンビン時間,ICG15分値,肝障害度,PNI,術式,手術時間,出血量,輸血率が有意な因子であった.これらの因子をロジスティック多変量解析した結果,PNI<45と出血量が独立した因子であった.術前因子だけでの検討ではPNI<45のみが独立因子であった.またPNI<45の症例において亜区域切除以上の手術は部分切除に比べて合併症が有意に多かった(p<0.001).【結論】肝切除術においてPNI<45は術後合併症発生の注意域であり,特に亜区域切除以上の手術時には注意が必要と考えられた. |
索引用語 |
|