セッション情報 Research Forum5

肝癌の内科・外科治療

タイトル RF5-11:

新しい焼灼プロトコールによる経皮マイクロ波熱凝固治療の提言

演者 田中 正俊(医療法人弘恵会ヨコクラ病院内科)
共同演者 木山 雅晴(医療法人弘恵会ヨコクラ病院内科)
抄録 【目的】ラジオ波とマイクロ波による熱凝固治療は,その周波数特性の違いから同じ治療では無い.現在,ラジオ波が繁用されるが,それは1回における焼灼範囲が広く(2.5 cm程度),焼灼はマイクロ波と比べて“焼けが弱い”すなわち“合併症が起こりにくい”.これに対しマイクロ波は範囲が狭いが(1.5 cm程度),確実に焼灼できる.今回の検討は,この確実な焼灼を維持しながら焼灼短径を広げる安全な焼灼を検討した.【方法】検討には本邦で市販されるマイクロ波アンテナ(パーキュプロDP 2mm針)とマイクロターゼ機器を用いた.基礎検討でブタ肝を用い1)80ワット,60秒(コントロール)連続焼灼と,10秒焼灼,5秒休止による間歇焼灼の繰り返しを,10回から35回まで繰り返し,間歇焼灼プロトコールの効果と,もっとも広い焼灼範囲を得られる回数を検討した.また2)連続と間欠焼灼による定在波比(Standing Wave Ratio;SWR)の変化を比較検討し,3)間欠焼灼を用いた3本針による焼灼横径の拡大について検討した.【結果】1)ブタ肝を用いた焼灼範囲は基本焼灼プロトコールでは短径15 mmであった.これに対し間歇焼灼法は繰り返し回数の増加とともに拡大した.15回以上で短径25mm,25回,30回で短径30mmが得られたが,それ以上の繰り返しでは拡大しなかった.2)連続焼灼と間欠焼灼によるSWRの比較では,間欠焼灼のほうでSWRが抑制され,焼灼開始から90秒経過した時点から有意にSWRが抑制されることが明らかになった(n=4,p<0.05).3)3本針による間欠焼灼プロトコール30回の組み合わせ焼灼では短径6 cmの焼灼が得られた.【考案と結論】今回提言する間歇焼灼プロトコールは,パーキュプロDP針を用いたマイクロ波焼灼において,焼灼短径を有効に拡大できた.今後は転移性大腸癌肝転移の焼灼治療に応用したい.
索引用語