セッション情報 | Research Forum6総胆管結石治療の最前線 |
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タイトル | RF6-1:高齢者総胆管結石性胆管炎治療戦略におけるプロカルシトニン測定の有用性 |
演者 | 濱野 耕靖(青梅市立総合病院消化器内科) |
共同演者 | 相川 恵理花(青梅市立総合病院消化器内科), 梅村 佳世(青梅市立総合病院消化器内科), 細谷 明徳(青梅市立総合病院消化器内科), 北村 まり(青梅市立総合病院消化器内科), 沼田 真理子(青梅市立総合病院消化器内科), 伊藤 ゆみ(青梅市立総合病院消化器内科), 野口 修(青梅市立総合病院消化器内科) |
抄録 | 【目的】高齢者総胆管結石性胆管炎においては発熱,腹痛など臨床症状を欠くことも多く的確な初期診療が求められる.急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン(GL)2013の重症度判定で中等症以上では緊急~早期の胆道ドレナージが推奨されている.近年感染症のマーカーおよび敗血症重症度の指標としてプロカルシトニン(PCT)が注目されており,高齢者総胆管結石性胆管炎の診断と病態把握に有用か検討する. 【方法】総胆管結石性胆管炎で入院となった症例のうちPCTを測定した65歳以上の97例を対象とした.65~74歳の前期高齢者(A群)と75~85歳の後期高齢者(B群),85歳以上の超高齢者(C群)にわけPCTを含む臨床像をretrospectiveに検討した.胆管炎重症度判定は上記GLを用いた.PCTカットオフ値として細菌感染症の鑑別診断では0.5ng/mL,臓器不全を合併した重症敗血症鑑別診断では2.0ng/mlを用いた. 【成績】対象はA群28例,B群46例,C群23例であった.入院時重症度判定は軽症/中等/重症がA群21/3/4例,B群19/20/7例,C群9/9/5例で有意にA群と比較してB・C群で中等症以上が多かった.臨床像ではA群/B群/C群で38℃以上の発熱29/35/35(%),腹痛有り69/52/70(%),抗血栓薬内服29/43/26(%)であった.PCT中央値(ng/ml)は1.25/1.61/2.59で有意差はないが,より高齢者群でPCT値が高い傾向にあった.また急性胆管炎軽症と判定された症例のうち5/5/3例がPCT≧2.0 ng/mlであった. 【結論】後期~超高齢者総胆管結石性胆管炎は来院時中等症以上症例が前期高齢者と比較して多かった.高齢者は発熱や腹痛など症状に乏しいケースがあり,受診の遅れにつながっている可能性や胆管炎発症後急速に重症化した可能性が考えられた.またPCTは急性胆管炎の重症度判定においても有用なマーカーであると示唆された.急性胆管炎軽症例であってもPCT高値の症例が存在し,速やかな胆道ドレナージを選択すべき根拠の一つになると思われた. |
索引用語 |