セッション情報 | Research Forum6総胆管結石治療の最前線 |
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タイトル | RF6-2:高齢者総胆管結石の治療の安全性からみた問題点 |
演者 | 柘野 浩史(津山中央病院消化器・内視鏡センター) |
共同演者 | 坂口 智紘(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 村上 麻友(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 角南 智子(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 岡 昌平(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 馬場 雄巳(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 岡崎 倫子(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 河合 大介(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 高山 裕基(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 竹中 龍太(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 竹本 浩二(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 藤木 茂篤(津山中央病院消化器・内視鏡センター) |
抄録 | 【目的】総胆管結石の治療は内視鏡的結石除去が基本だが,高齢者では重篤な基礎疾患や寝たきりなどのために,内視鏡そのものが躊躇われる症例にしばしば遭遇する.また,高齢者では合併症が起きると重篤化し致命的になる場合がある.今回我々は,高齢者総胆管結石の内視鏡治療の合併症など,治療と管理の安全性からみた問題点について検討した.【対象と方法】過去10年間に当院で内視鏡的治療を実施した総胆管結石1551件(EST794,長期EBS398,EPBD48,EPLBD10,結石除去311件)(平均77.0歳;23-108歳).短期合併症を高齢者と非高齢者で比較検討した.また,処置後平均在院日数や長期の胆嚢炎発症も検討した.処置後死亡退院した症例も詳細に検討した.【成績】1)短期合併症は5.2%と少なく(EST6.8%,EBS2.7%,EPBD16.6%,結石除去1.9%など),大半は軽症で,高齢者と非高齢者で有意差は認めなかった.2)重篤な短期合併症はすべて高齢者に発症し,穿孔例3件では開腹手術を要し,重症膵炎3例(EST2件,EPBD1件)やEPLBD後の大出血から変調を来した1例は死亡した.3)処置後平均在院日数はEST9.3日,EPLBD7.4日,EBS5.3日であった.4)死亡退院は20件(1.3%)で,治療合併症例以外は,すべて重篤な基礎疾患例や超高齢者で,死因は基礎疾患に関連するものだった.4)胆嚢炎発症は12件(0.7%)(高齢者9件,非高齢者3件)で,全てESTの既往がある有石症例で,11件(91.6%)に外科的手術が必要だった.5)長期EBS症例では重篤な短期合併症はなく,EBS単独では胆嚢炎の発症もなかった.【結論】1)高齢者総胆管結石の内視鏡治療は安全ではあるが,稀に重篤な合併症や胆嚢炎を生じる危険があるため,症例に応じて安全を考慮した手技の選択が必要である.2)EPLBDは,早期離床が必要な症例には良い適応だが,稀に重篤な合併症が出現するため,体力の脆弱な症例ではまだ慎重な検討が必要である.3)体力的に非常に問題がありかつ長期余命が望めない重篤な基礎疾患症例や超高齢者では,長期EBS留置を繰り返すほうがより安全である. |
索引用語 |