セッション情報 Research Forum6

総胆管結石治療の最前線

タイトル RF6-3:

当院における後期高齢者総胆管結石症治療の検討

演者 景岡 正信(藤枝市立総合病院消化器内科)
共同演者 渡辺 文利(浜松南病院), 丸山 保彦(藤枝市立総合病院消化器内科), 大畠 昭彦(藤枝市立総合病院消化器内科), 志村 輝幸(藤枝市立総合病院消化器内科), 宇於崎 宏城(藤枝市立総合病院消化器内科), 金子 雅直(藤枝市立総合病院消化器内科)
抄録 【目的】当院では年齢にかかわらず総胆管結石症に対してESTないしEPBDによる内視鏡的切石が第一選択だが,高齢で重篤な基礎疾患や認知症を有する場合完全切石に長時間かける事が困難なため,結石嵌頓予防目的に胆管ステント長期留置(EBS)とする場合がある.今回,後期高齢者(75歳以上)総胆管結石症に対する経乳頭的内視鏡治療(内視鏡的切石ないしEBS)の有用性と問題点を明らかにする.【方法】1992年9月から2012年8月までに当院で経乳頭的内視鏡治療を行い経過観察しえた総胆管結石558例(男311,女247,平均観察期間67.5ヶ月)について後期高齢者(A群)236例,非高齢者(74歳以下:B群)322例に分けて患者背景,治療成績,早期/長期偶発症,予後を検討した.【結果】患者背景として重篤な基礎疾患41.1%vs18.9%,認知症10.2%vs0.3%,抗血小板薬内服22.5%vs5.6%,胆道感染合併率56.8%vs39.8%といずれもA群で高率(p<0.001)に認めた.総胆管径,総胆管結石径のいずれもA群が大きかった(p<0.001).治療成績は内視鏡的完全切石率はA群94.7%,B群98.7%(p<0.05),EBSがA群21.6%,B群1.2%(p<0.001)となっている.早期偶発症はA群3.8%(膵炎2.5%),B群8.1%(膵炎5.3%)でA群が低率だった(p<0.05).長期偶発症はA群21.2%,B群13.7%でA群が高率(p<0.001)であったが,いずれも対応できており,偶発症による死亡は認めない.多変量解析にて有石胆嚢放置,総胆管結石2個以上,総胆管径10mm以上,およびEBSが長期偶発症の危険因子となった.【結論】高齢者といえども長期予後の観点から完全切石が望ましいが,内視鏡的切石困難例かつ長期予後の望めない症例に限って侵襲の少ないEBSをうまく使い分けることで総胆管結石の経乳頭内視鏡的治療を安全かつ有用なものとしている.
索引用語