セッション情報 Research Forum6

総胆管結石治療の最前線

タイトル RF6-9:

消化管再建後胆膵疾患症例に対するダブルバルーン内視鏡によるアプローチの現状と課題

演者 小林 隆(神戸大学消化器内科)
共同演者 増田 充弘(神戸大学消化器内科), 久津見 弘(神戸大学消化器内科)
抄録 【目的】術後再建腸管を伴った胆膵疾患症例に対する内視鏡的診断・治療成績は,バルーン内視鏡によって大きく改善しつつある.特に,Roux-en-Y再建後ではバルーン内視鏡を用いることで処置を達成できる症例が増加しているが,未だ困難な場合も少なからず経験する.そこで我々は,消化管再建後胆膵疾患症例に対するダブルバルーン内視鏡(DBE)の有用性と課題を明らかにすべく検討を行った.【方法】2006年1月から2012年4月までの期間に神戸大学消化器内科で施行したERCP関連手技のうち,消化管再建法としてRoux-en-Y法が行われていた46例(のべ60件)とBillroth-2法が行われていた80例(のべ139件)の計126例199件を対象とし,使用内視鏡種,目的部位到達率,手技成功率,手技時間,合併症などを評価項目とした.【結果】Billlroth-2法症例では,到達率(DBE 82%,非DBE 91%)や手技成功率(DBE 59%,非DBE 85%)においてDBE群と非DBE群の間に大差がなかったのに対し,Roux-en-Y法では到達率(DBE 64%,非DBE 20%,p<0.01)や手技成功率(DBE 55%,非DBE 20%,p<0.01)においてDBEの方が明らかに良好であった.Roux-en-Y法を,元となる術式から胃全摘,胃空腸吻合,胆管空腸吻合の3つに分けた場合,胃全摘群の到達率(47.1% vs. 72.7%,74.1%)や手技成功率(29.4% vs. 54.5%,70.7%)は他の2群より明らかに不良で,平均手技時間(150分vs. 105分,120分)は長く,合併症は重篤になる傾向があった(消化管穿孔1例).到達成功例における手技成功率では術式間での有意差はなかった.【結論】DBEは,これまで通常内視鏡では困難であったRoux-en-Y再建後胆膵疾患に対して有用であるが,内視鏡到達困難例に対するアプローチが今後の課題と考えられた.
索引用語