セッション情報 Research Forum6

総胆管結石治療の最前線

タイトル RF6-11:

シングルバルーン内視鏡を用いた術後腸管ERCPの現在までの到達点

演者 細野 邦広(横浜市立大学内視鏡センター)
共同演者 藤田 祐司(横浜市立大学内視鏡センター), 関野 雄典(横浜市立大学内視鏡センター), 窪田 賢輔(横浜市立大学内視鏡センター), 中島 淳(横浜市立大学内視鏡センター)
抄録 【目的】術後腸管に対するバルーン内視鏡を用いてのERCPの有用性が多数報告されているが,シングルバルーン内視鏡(SIF-Q260,オリンパス)(以下SBE)については,有効長の問題から処置内容によりスコープ入れ替えが必要となりその課題も多い.SBEでのERCPをより確立した手技として普及させるため,処置完遂率をいかに上げるかは重要な課題であり,さらなる工夫が求められている.SBEでの先端フードの使用については,スコープ入れ替え時に支障をきたすことから未装着での検査が一般的であるが,装着状態であれば選択的胆管挿管時のみならず,スコープ挿入の際にも進行方向の確認が容易となり有用と思われ,今回その有用性を検証した.【方法】先端フードの装着,未装着での目的部位への到達率,到達時間,胆管・膵管へのカニュレーション成功率,処置完遂率を比較検討した.なお処置中,スコープ入れ替えの必要があれば,先端フードとスライディングチューブを残したままSBEを抜去し,直視鏡を挿入し処置を継続した.【結果】対象は当院で施行したSBEを用いての術後再建腸管を有するERCP 39症例61件.装着群は21件,未装着群は40件で,再建法の内訳はBillrothII法4例,Roux-en-Y再建42例,膵頭十二指腸切除術15例であった.到達率は装着群90.4%,未装着群80%で有意差(P=0.29)はなかったが,到達時間は平均21分対31分(P=0.012)で,装着群で有意に短かった.到達例のうちそれぞれのカニュレーション成功率は89.4%対75.0%,処置完遂率は84.2%対75.0%で,装着群で高い傾向にあった.また直視鏡への変更後,先端フードの再装着も可能であり,胆管空腸吻合部狭窄などの症例ではカニュレーションの際,大いに有効であった.【結論】SBEでのERCPは先端フードの装着により検査時間の短縮とカニュレーション成功率,処置完遂率の上昇が期待でき,有用であると考えられた.
索引用語