セッション情報 |
Research Forum7
胃腫瘍診療の最前線
|
タイトル |
RF7-6:ESD後潰瘍に対しOTSC systemおよびクリップを用いた内視鏡的閉鎖術の有用性の検討
|
演者 |
前川 智(独立行政法人労働者健康福祉機構新潟労災病院消化器内科) |
共同演者 |
野村 亮介(独立行政法人労働者健康福祉機構新潟労災病院消化器内科), 村瀬 貴之(独立行政法人労働者健康福祉機構新潟労災病院消化器内科), 安 泰善(独立行政法人労働者健康福祉機構新潟労災病院消化器内科) |
抄録 |
【目的】ESDの二大合併症は出血と穿孔で,出血率は2~16%,穿孔率は1~6%と報告され,術後1週以内に起こる可能性が高い.ESD施行後は病変があった部位が必ず人工潰瘍となるため,1~2日は欠食が必須で,その後も食事療法が必要となる.従って,ESD施行施設では1週間前後の入院加療を要している.ESD後出血や穿孔を来した場合は,入院期間がさらに伸びる傾向にあり,大きな穿孔を生じた際は,外科治療を要する場合もある.ところで,瘻孔や穿孔を生じた場合の内視鏡的な全層縫合器として,OTSC system(Over-The-Scope-Clipping system for flexible endoscopy)が2012年よりCentury Medical, Inc社より発売されている.そこで我々はESD後潰瘍の出血・穿孔予防のため,上述のOTSC systemおよびクリップによるESD後潰瘍の閉鎖術を考案し,2013年6月より開始し,その有用性を検討した.【結果】2013年9月までにOTSC systemおよびクリップによるESD後潰瘍の閉鎖術を5例に施行し,全例で成功した.肉眼形態は0-IIa 3例 0-IIc 2例で,病変部位はU/M/L領域が2/2/1例であった.平均切除径39.6±11.9 mm,平均病変径23.6±11.2 mm,平均切除時間59.4±23.9分で,全例で治癒切除可能であった.平均創面最大径は53.0±16.0 mmであり,OTSC systemおよびクリップによるESD後潰瘍の閉鎖時間は22.0±11.4分であった.術翌日のGIFではOTSC systemおよびクリップの脱落を認めず,潰瘍面は完全に閉鎖できていた.【考察】ESD後潰瘍の閉鎖術では,クリップのみで施行した場合,一時的に潰瘍面が閉鎖できたとしても,術後しばらくして脱落してしまうことが多く,ESD後出血・穿孔等の予防効果は乏しいと思われる.一方,本題のOTSC systemおよびクリップを併用した場合は術後早期に脱落を生じる可能性が少なく,優れた潰瘍面閉鎖効果を示すと考えられた.なお,本手技については先進医療申請を計画中であり,発表当日に動画供覧予定である. |
索引用語 |
|