セッション情報 Research Forum7

胃腫瘍診療の最前線

タイトル RF7-8:

胃癌における胃内洗浄液細胞診の検討―遊離癌細胞は検出されるのか?―

演者 大木 亜津子(杏林大学外科)
共同演者 阿部 展次(杏林大学外科), 竹内 弘久(杏林大学外科), 正木 忠彦(杏林大学外科), 森 俊幸(杏林大学外科), 海野 みちる(杏林大学病理), 大倉 康男(杏林大学病理), 杉山 政則(杏林大学外科)
抄録 【背景と目的】胃癌に対する内視鏡的全層切除術や腹腔鏡内視鏡合同手術などが行われるようになってきた.しかし,それらの処置では癌細胞の腹腔内散布,ひいては腹膜播種の可能性が懸念される.しかし,これらの現象のエビデンスはなく,現時点ではあくまで「懸念」に過ぎないのではないだろうか.今回,胃癌症例において,内視鏡検査や処置時における胃内洗浄液細胞診を行い,遊離癌細胞が検出されるか否かを検討したので報告する.【方法】早期胃癌69例(うちESD施行中31例),進行胃癌28例の計97例を対象とした.内視鏡検査時に滅菌蒸留水250mlを腫瘍に勢いよく散布し洗浄液を回収した.ESD施行例では,全周切開が終了した時点で同様の操作を行った.洗浄液を遠心分離,細胞成分を分離抽出し,沈渣を塗沫鏡検,細胞診による診断を行った.腺上皮細胞の核の形態が主病巣のHE染色結果と酷似している場合に癌を疑う異型腺細胞陽性と判定した.【結果】洗浄液から検出された細胞成分は扁平上皮,腺上皮,間質細胞,細菌・真菌などであった.扁平上皮の検出率は97%,腺上皮の検出率は41%であり,腺上皮の洗浄液中への脱落は少なかった.癌細胞を疑う異型腺細胞は,進行癌,早期癌,早期癌ESD中でそれぞれ2例(各々7%,5%,6%)に認めた.しかし,それらの細胞膜はいずれも変性が強く,細胞としては膨化/裸核化していた.【結論】頻度は低率ではあるが,早期癌,進行癌にかかわらず,胃内洗浄液中に癌細胞を強く疑う異形腺細胞が検出された.しかし,それらはviableな細胞とは言い難い細胞形態を示しており,独立した増殖能や腹膜播種能を有し得ないと考えられた.胃癌に対する内視鏡的全層切除術や腹腔鏡内視鏡合同手術では,本検討と同様に胃内は洗浄された状態であり,viableな遊離癌細胞は胃内に存在していないと考えられ,懸念される腹膜播種は起こりがたい状況と考えられた.
索引用語