セッション情報 Research Forum7

胃腫瘍診療の最前線

タイトル RF7-10:

胃癌におけるpStageで層別化したcStageと生存転帰との相関―cStageは術前化学療法の症例選択の指標となりうるか?―

演者 坂東 悦郎(静岡がんセンター胃外科)
共同演者 幕内 梨恵(静岡がんセンター胃外科), 三木 友一朗(静岡がんセンター胃外科), 徳永 正則(静岡がんセンター胃外科), 谷澤 豊(静岡がんセンター胃外科), 川村 泰一(静岡がんセンター胃外科), 絹笠 祐介(静岡がんセンター消化器外科), 金本 秀行(静岡がんセンター消化器外科), 上坂 克彦(静岡がんセンター消化器外科), 寺島 雅典(静岡がんセンター胃外科)
抄録 背景:術前化学療法(NAC)の適応症例は必然的に術前のclinical stage(cStage)に基づいて選択される.cStageと生存転帰の関連は少数報告されているが,pathologic(p)stageで層別化したcStageの意義は検討されていない.即ち,同一のpStageにおいてもcStageによる生存転帰の有意な分離が認められれば,NACの適応症例選択の指標として頑健性を得ていると言える.そこでpStageにて層別した症例群でのcStageと生存転帰との関連について検討した.対象と方法:2002.10-2013.5の初発胃癌中,術前に化学療法を受けていない3345例が対象.pStageで層別したcStageと生存転帰の相関を評価した.結果:1.全症例;cStage別の5生率は,IA(n=1526);95%,IB(n=381);83%,IIA(n=204);77%,IIB(n=386);56%,IIIA(n=203);52%,IIIB(n=296);43%,IIIC;24%(n=176),IV(n=173);9%(IIB vs. IIIAのみp=0.612,残りは全てp<0.005で有意差を認めた).cStageのHarrell’s c-indexは0.827.2.pStage別解析;pStageIでcStage別5生率はI;94%(n=1608),II;92%(n=108),III;87%(n=22),IV(n=1);100%,で全ての群間で有意差は無かった.pStageIIではI;81%(n=226),II;82%(n=188),III;75%(n=125),IV(n=5);60%,で全ての群間で有意差は無かったが,I/II vs. III間で有意差を認めた(p=0.048).pStageIIIではI;74%(n=62),II;57%(n=126),III;54%(n=242),IV(n=9);53%で,I vs. II(p=0.019)とI vs. III(p=0.008)の群間で有意差を認めた.pStageIVではI;25%(n=11),II;19%(n=132),III;9%(n=286),IV(n=158);3%で,II vs. III(p=0.020)とIII vs. IV(p<0.001)の群間で有意差を認めた.結語:術前cStageは高いc-indexを有し,また最終pStageで層別してもpStageI以外ではcStageによる生存転帰予測の有意性が認められた.cStageはNAC症例選択の指標として有用と思われる.
索引用語