セッション情報 | 口演大腸・画像 |
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タイトル | O-005:大腸上皮性腫瘍におけるwhite opaque substance(WOS)の検討 |
演者 | 久部 高司(福岡大学筑紫病院消化器内科) |
共同演者 | 八尾 建史(福岡大学筑紫病院消化器内科), 石原 裕士(福岡大学筑紫病院消化器内科), 平井 郁仁(福岡大学筑紫病院消化器内科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院消化器内科), 今村 健太郎(福岡大学筑紫病院病理部), 岩下 明徳(福岡大学筑紫病院病理部) |
抄録 | 【目的】胃のNBI併用拡大内視鏡観察で,上皮内に認められる白色の物質により上皮下の微小血管が透見できない現象があり,我々はこの物質をwhite opaque substance(WOS)と命名し,胃上皮性腫瘍においてWOSの形態学的所見を癌と非癌の鑑別診断に応用している.さらに,このWOSは上皮内に集積した微小な脂肪滴が視覚化されたものであることを証明した.しかし大腸上皮性腫瘍におけるWOSの存在や臨床的意義は不明であり,これらを明らかにすることを目的として検討した.【方法】対象は2010年から2012年までに当科において,NBI併用拡大内視鏡で最大倍率で観察され内視鏡的または外科的に切除された324症例467病変(大腸腺腫362病変,早期大腸癌105病変)を対象とした.男女比は226:98,平均年齢は66.1歳だった.大腸上皮性腫瘍におけるWOSの陽性率およびWOSの有無別に臨床病理学的背景を比較検討した.【成績】大腸上皮性病変におけるWOSの陽性率は40.7%(190/467)で,大腸腺腫では32.3%(117/362),pTis癌では61.3%(38/62),pT1癌では81.4%(35/43)だった.WOS陽性例は陰性例と比較して(1)性別と年齢に有意差なく,(2)腫瘍径は有意に大きく(17.7±14.0 vs 10.7±7.5mm,P<0.0001),(3)病変部位では近位大腸に有意に多く(P=0.0183),また遠位大腸に有意に少なく(P=0.0022),(4)肉眼形態では0-IIa,IIc,IIa+IIcの占める割合が有意に多かった(P=0.0006).【結論】今回の検討から大腸上皮性腫瘍にもWOSが存在することが初めて明らかとなった.さらに臨床病理学的に,WOSは腫瘍の進展に伴いその発現率が上昇していた.腫瘍細胞では脂肪酸の新規合成が盛んであり各種の脂質代謝酵素ががん細胞の増殖や転移を促進することが知られている.今後,大腸におけるWOSの検討により大腸腫瘍性病変の診断や発育進展の解明につながることが期待される. |
索引用語 |