セッション情報 口演

食道癌基礎

タイトル O-009:

内視鏡的切除した咽頭・食道・胃癌における癌関連蛋白発現:field cancerization現象の観点からの検討

演者 八島 一夫(鳥取大学機能病態内科学)
共同演者 山本 宗平(鳥取大学機能病態内科学), 川田 壮一郎(鳥取大学機能病態内科学), 林 暁洋(鳥取大学機能病態内科学), 武田 洋平(鳥取大学機能病態内科学), 佐々木 修治(鳥取大学機能病態内科学), 松本 和也(鳥取大学機能病態内科学), 河口 剛一郎(鳥取大学機能病態内科学), 原田 賢一(鳥取大学機能病態内科学), 村脇 義和(鳥取大学機能病態内科学)
抄録 【目的】食道扁平上皮癌は喫煙・飲酒などの生活習慣が関与しており,field cancerization現象により頭頸部癌をよく重複する.しかし,内視鏡的切除されるような早期病変での検討は少なく,また胃癌も高頻度に重複するが,同様な影響についての報告は少ない.今回我々は,内視鏡的切除した咽頭・食道・胃癌における癌関連蛋白発現結果を相互に比較し,field cancerization現象の観点から検討した.【方法】内視鏡的切除した咽頭癌9例(男性のみ,食道癌既往・重複5症例,平均年齢68.7歳:CIS7例,上皮下浸潤2例),食道癌49例(男39症例:女2症例,頭頸部癌既往・重複7症例,多発食道癌6症例,平均年齢69.0歳:LGIN9例,HGIN/CIS22例,LPM9例,MM4例,SM5例),胃癌104例(男77症例:女27症例,平均年齢70.3歳:m92例,sm12例)を用いて免疫組織化学染色にて癌関連蛋白(Fhit,E-cadherin,P53,AID)発現を解析した.また喫煙,飲酒および重複癌との関係についても確認した.【結果】Fhit,E-cadherin蛋白発現異常(減弱・消失)はそれぞれ咽頭癌:88%,44%,食道癌:71%,29%,胃癌:未施行,16%に認め,食道癌においてFhitは進行度と喫煙・飲酒量との関係を認めた(p<0.05).P53蛋白発現,AID発現異常はそれぞれ咽頭癌:88%,77%,食道癌:47%,41%,胃癌:33%,34%に認め,咽頭癌でP53異常が高頻度であった(p<0.05).胃癌においてはAID異常発現によりP53遺伝子異常を引き起こす可能性が報告されているが,今回の検討ではすべての癌においてP53とAIDとの関係は認めず喫煙,飲酒によるP53異常の影響が示唆された.P53,Fhit異常頻度は胃,食道,咽頭の順で高く,喫煙,飲酒の影響が強い順を示している可能性がある.また,P53,Fhit異常頻度は特に重複癌症例で顕著であった.【結語】咽頭・食道・胃癌においてP53,Fhit異常は喫煙,飲酒によるfield cancerization現象の影響を受けていると考えられた.
索引用語