セッション情報 口演

食道癌,内科的治療

タイトル O-011:

食道癌化学放射線療法後遺残再発に対するサルベージ光線力学療法

演者 矢野 友規(国立がん研究センター東病院消化管内視鏡科)
共同演者 鳩貝 健(国立がん研究センター東病院消化管内科), 小島 隆嗣(国立がん研究センター東病院消化管内科), 依田 雄介(国立がん研究センター東病院消化管内視鏡科), 土井 俊彦(国立がん研究センター東病院消化管内科), 金子 和弘(国立がん研究センター東病院消化管内視鏡科), 大津 敦(国立がん研究センター東病院消化管内科)
抄録 【背景】食道癌に対する化学放射線療法(CRT)の局所遺残再発に対しては,外科手術が行われるが,致死的な合併症の頻度が高い.我々は,安全で効果的なサルベージ治療の開発を目指し光線力学療法(PDT)を導入した.【目的】サルベージPDTの長期成績と予後因子を明らかにすること【方法】当院にて1998年1月から2008年12月までに根治的CRT(50Gy以上)が施行された食道癌症例のうちPDTが施行された局所遺残再発例を対象としてretrospectiveに解析した.PDTの適応は,1)CRT後にリンパ節または遠隔転移を認めない,2)遺残再発病変の深達度がT2以浅,3)サルベージ手術不耐または拒否,4)EMRでは切除不可能と判断,5)文書による同意.PDTは,フォトフリンとエキシマダイレーザを用いた.PDT後潰瘍が瘢痕化し,生検で癌陰性を完全奏効(CR)と定義し,CR率,無増悪生存率,全生存率を評価し,予後因子については多変量解析を行った.本研究は,当センターの倫理審査委員会の承認されている.【結果】CRTを行った716例中局所遺残再発85例(11.9%)と紹介例28例の連続113例に対してPDTを行った.CRT前背景は,男/女:107/6,年齢中央値66歳,T1/2/3/4:18/18/60/17,N0/1:54/59.PDT前背景は,遺残/CR後再発:64/49,CRTからPDTまでの期間≦6ヶ月/>6ヶ月:55/58,uT1/2:72/41.CR率は58.4%(66/113,95%CI:49.3-67.5),主な合併症は,穿孔5例(4.4%).観察期間中央値61ヶ月で,5年無増悪生存率は22.1%(95%CI:14.3-30.0),5年全生存率は35.9%(95%CI:26.7-45.1)で,独立した予後良好因子は,CRT前N0(Hazard ratio(HR):0.496,95%CI:0.310-0.793,p=0.003)とCRTからPDTまでの期間>6ヶ月(HR:0.555,95%CI:0.351-0.879,p=0.012)であった.【結語】PDTは,根治的なサルベージ治療の選択肢になり得る.
索引用語