セッション情報 | 口演食道癌,外科的治療 |
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タイトル | O-015:ハイブリッド食道切除術:食道癌鏡視下手術の未来に向けての工夫 |
演者 | 出江 洋介(がん・感染症センター都立駒込病院食道外科) |
共同演者 | 久米 雄一郎(がん・感染症センター都立駒込病院食道外科), 十倉 三千代(がん・感染症センター都立駒込病院食道外科), 三浦 昭順(がん・感染症センター都立駒込病院食道外科), 加藤 剛(がん・感染症センター都立駒込病院食道外科), 江頭 秀人(がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科), 藤原 純子(がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科), 門馬 久美子(がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科) |
抄録 | 食道癌に対する鏡視下手術は,腹臥位手術の普及が導入時のハードルを下げた.2012年に無作為化試験の結果がヨーロッパのグループから報告され,呼吸器合併症が開胸開腹手術と比較し有意に少なかった.腹臥位で人工気胸法を用いることにより,両肺換気で手術を行うことができたことを呼吸器合併症が少なかった理由として挙げている.当科では,呼吸器合併症の減少に有利に働くのは(1)胸部操作時間の短縮,(2)両肺換気での手術であると考え,2005年より中・下縦隔操作を腹腔鏡で経裂孔的に行ない,側臥位胸腔鏡操作で人工気胸法を使用し,肺を完全虚脱させずに行う手術法に取り組んできた.中・下縦隔操作は経裂孔的に行うことによって両肺換気でも良好な視野で手術を行うことが可能であり,胸部操作も上縦隔操作のみであれば人工気胸法の併用により,側臥位でも両肺換気での手術が可能となる.経裂孔的手術と胸腔鏡下手術のハイブリッド手術であり,経裂孔的な縦隔剥離の際の食道牽引に経口軟性内視鏡を使用し,硬性鏡と軟性内視鏡のハイブリッド手術でもある.2005年から2011年までにハイブリッド食道切除術を行った81例の5年全生存率はStage0/I/II/III/IVa=100/100/87/44/34%であった.それ以前の24例と比較すると,平均胸部操作時間は111分vs 314分と有意に短縮し,肺炎は2例(2.5%)vs 4例(16.7%)と有意に減少した.合併症の診断は基準を設けて行った.ハイブリッド食道切除術は,肺を圧排しない経裂孔的手術の低侵襲性と胸腔鏡の精緻な上縦隔郭清を組み合わせた手術であり,肺合併症の低下と長期成績の改善を実現した.また本術式は,経裂孔的手術における視野展開のノウハウの積み重ねや技術革新により,将来的には胸部操作のない根治手術へとつながる術式であると考えている. |
索引用語 |