セッション情報 口演

食道癌,外科的治療

タイトル O-017:

女性食道癌における胸腔鏡下食道切除術の治療成績

演者 竹村 雅至(兵庫医科大学上部消化管外科)
共同演者 海辺 展明(兵庫医科大学上部消化管外科), 山下 英孝(兵庫医科大学上部消化管外科), 瀧井 麻美子(兵庫医科大学上部消化管外科), 吉田 佳世(兵庫医科大学上部消化管外科), 仁和 浩貴(兵庫医科大学上部消化管外科), 大嶋 勉(兵庫医科大学上部消化管外科), 菊池 正二郎(兵庫医科大学上部消化管外科), 笹子 三津留(兵庫医科大学上部消化管外科)
抄録 【はじめに】様々な癌種で予後に性差があり,さらに術後合併症にも性差があるとする報告も散見される.食道癌においては女性に比べて男性が5倍の発症率で,女性食道癌では術後合併症が低頻度で予後が良いとする報告もある.我々が経験した胸腔鏡下食道切除術施行症例のうち女性食道癌症例を対象とし,鏡視下手術における性別の影響について検討した.【対象と方法】2000年から2011年までに胸腔鏡下食道切除術を適応した胸部食道癌305例のうち,女性62例(20.3%)を対象とした.これら症例の術後合併症,再発形式,生存率などを検討した.【結果】年齢中央値は63.5歳で,占居部位はUt/Mt/LtAe:6/37/19例であった.開胸移行例は1例のみで,腹部操作も60例で腹腔鏡下に行った.手術時間は396分(中央値),胸部操作時間は148分であり,出血量355g(胸部:200g)であった.術後合併症は10例に縫合不全が生じ(16%),その他反回神経麻痺:5例,肺炎・脳梗塞・創感染・腸閉塞がそれぞれ1例であった.病理組織学的深達度はpT1a/pT1b/pT2/pT3:6/19/9/28例で,25例にリンパ節転移を認めた.病理組織学的な進行度は0/I/II/III/IV:6/14/22/20例であった.再発形式をみると,血行性再発11例(肝:5例,肺:3例,副腎:2例,骨:1例)で,リンパ節5例(頚部:4例,腹部:1例)であった.他病死例は7例で,そのうち他癌死は1例のみであった.全例の3年生存率は81.9%で,5年生存率は72.9%であった.進行度別に5年生存率をみると,0:100%,I:75.8%,II:93.3%,III・IV:47.1%で,リンパ節転移陽性例でも54.4%と良好であった.【結語】女性食道癌でも,術後合併症の頻度には男性とは明らかな差異はなかった.ただし,長期予後に関しては明らかに良好であり,リンパ節転移陽性例や進行癌でも比較的良好な予後が期待できる.
索引用語