セッション情報 口演

総胆管結石治療1

タイトル O-019:

高齢者総胆管結石の管理と治療

演者 岡本 廣挙(都留市立病院,外科)
共同演者 若菜 弘幸(都留市立病院,外科), 藤井 秀樹(山梨大学医学部消化器,乳腺・内分泌外科)
抄録 【目的】高齢化社会をむかえ,以前より総胆管結石症の罹患年齢も高齢化している.総胆管結石症の治療は,ESTを代表とした内視鏡的治療が主役をなすが,EST困難例,再発例もある一定の割合存在し,外科的治療も必要とされる.そこで,外科の立場から,胆管結石の病態を考慮した高齢者の総胆管結石の管理と治療法を考察した.【方法】EST困難,EST後再発の総胆管結石症,及び胆道拡張を有する原発性総胆管結石症に対して胆汁うっ滞Biliary stasisを病態の中心と考え,総胆管切開採石,胆管十二指腸吻合法を行ってきた.さらに,吻合することにより術後の遺残結石の懸念もない.2013年9月までに同治療を行った50例(男女;11:14,平均年齢;77.8歳)を,前期高齢者(65-74歳);13例,後期高齢者(75-84歳);24例,超高齢者(85歳-);13例に分類しそれぞれ出血量,手術時間,経口摂取開始時期,在院日数,及び術後肺炎や腸閉塞等の周術期の合併症,さらに中長期的に胆管炎の発生や結石に再発に関して検討を行った.【結果】全例耐術可能で,出血量は,前期高齢者群で168ml,後期高齢者群で118ml,超高齢者群で111mlであった.経口摂取開始時期は,前期高齢者群で2.4日,高齢者群で3.2日,超高齢者群で7日であった.在院日数は,前期高齢者群で7日,後期齢者群で10日,超高齢者群は,評価不能であった.術後肺炎や腸閉塞等の周術期の合併症は,特に認めなかった.超高齢者で一例の胆管損傷を認めたが,ステントにて軽快した.逆行性胆管炎,結石の再発は,いずれの群も見ていない.【結論】胆管十二指腸吻合法は,胆汁うっ滞のない大きな吻合が可能であり,出血も少なく,遺残結石の懸念もなく,胆管炎,結石の再発も非常に少ないと言える.超高齢者は,宿主要因としてcompromised hostであるので合併症に注意が必要である.
索引用語