セッション情報 口演

総胆管結石治療1

タイトル O-020:

当院における高齢者の総胆管結石に対する内視鏡的治療の有用性の検討

演者 阿部 友太朗(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科)
共同演者 西山 範(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 鳥住 知安記(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 滋野 聡(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 井上 貴功(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 大西 幸作(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 岩谷 修子(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 長谷川 徳子(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 井上 浩一(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 澁川 成弘(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 石井 修二(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 葛下 典由(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 春名 能通(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科), 井上 敦雄(大阪府立急性期・総合医療センター消化器内科)
抄録 【目的】現在我が国では急速に高齢化が進行しており総胆管結石症は増加傾向で,胆管炎を併発すると致命的な病状に至る可能性があり早急な治療が必要である.一方内視鏡的治療の安全性の担保が懸念され,総胆管結石除去術を行うか胆管ステント留置に止めるかなど治療方針の決定には見解の一致をみない.今回我々は高齢者に対する総胆管結石症に対する内視鏡的治療の現状につき検討したので報告する.【方法】2009年4月から2012年9月までに当科で総胆管結石症に対して内視鏡的治療を施行した284例のうち,R-Y再建症例で乳頭に到達できなかった1例を除く283例を対象とした.75歳以上の高齢者群137例,74歳以下の対象群146例とに分類し患者背景,併存疾患,治療成績,合併症について比較検討した.【成績】平均年齢は高齢者群:81.5歳(75歳-101歳),対象群:63.8歳(28歳-74歳).男女比はそれぞれ70:67,92:54.併存疾患は高齢者群:肺疾患4例(2.9%),心疾患37例(27%),透析5例(3.6%),対象群:肺疾患3例(2.1%),心疾患24例(16.4%),透析13例(8.9%).全例内視鏡的治療で完全排石し得た.全身状態や抗血栓薬等の問題から初回に胆管ステントによるドレナージのみを行った症例は高齢者群:48例(35.0%),対象群:31例(21.2%).これらの症例は後日全例に内視鏡的に排石術を施行した.また偶発症は高齢者群で膵炎6例(4.4%),誤嚥性肺炎1例(0.7%),EST後出血3例(2.2%)を併発した.対象群で膵炎9例(6.2%),EST後出血4例(2.7%)であった.全例において保存的加療にて治癒し致死的な偶発症には至らなかった.【考察】内視鏡的総胆管結石除去術に対する偶発症は高齢者,対照群とで有意な差を認めず,結石除去術を試みることは妥当と考えられた.【結論】総胆管結石症に対する内視鏡的除去術は高齢者においても対照群と同様に施行できると考えられた.
索引用語