セッション情報 口演

総胆管結石治療1

タイトル O-021:

当院における高齢者総胆管結石に対する治療の現況

演者 南 一洋(東京都立大塚病院内科)
共同演者 倉田 仁(東京都立大塚病院内科), 前野 智子(東京都立大塚病院内科), 和気 泰次郎(東京都立大塚病院内科), 山本 健一郎(東京都立大塚病院内科), 加藤 理恵(東京都立大塚病院内科), 田中 啓(東京都立大塚病院内科), 檀 直彰(東京都立大塚病院内科), 渡辺 守(東京医科歯科大学消化器内科)
抄録 【目的】総胆管結石は胆管炎や胆管閉塞症状を初発に発見されることが多いが,無症状の場合でも,閉塞性化膿性胆管炎や膵炎といった重篤な合併症の危険があるため,早期に結石除去を行う必要があると考えられている.除去術としては侵襲の少ない経乳頭的内視鏡治療が第1選択とされ,本邦では高齢者に対しても積極的に内視鏡治療が行われているが,その有用性と安全性は常に検討する必要がある.今回,当院で75歳以上の高齢者に対し施行した内視鏡治療の現況を報告するとともに,高齢者への胆嚢摘出術に関する考察を行う.【方法】2010年1月から2012年12月までの3年間にERCPを施行した186件のうち,総胆管結石症であった75歳以上の53症例を高齢者群(75歳~84歳)と超高齢者群(85歳以上)に分けた.高齢者群は31症例(73件),超高齢者群は22症例(45件)であり,術後の高アミラーゼ血症や施行時間,除去成功率,結石除去後の胆嚢摘出術の有無などについて検討した.【成績】高齢者群は男性20人女性11人,超高齢者群は男性6人女性16人であった.入院時のADL,認知機能は超高齢者群で低下していた.術後の高アミラーゼ血症,施行時間,除去成功率は両群間で有意差を認めなかった.内視鏡治療後に胆嚢摘出術を施行したのは,既に術後であった例を除き高齢者群4/23,超高齢者群2/18であった.また,胆嚢摘出術未施行で以降に結石性胆嚢炎を発症したのは,高齢者群で2例,超高齢者群で0例であった.胆嚢摘出術後に総胆管結石を発症したのは,高齢者群で7例,超高齢者群で4例であった.【結論】超高齢者群は高齢者群に比べADL・認知機能が有意に低下しているにも関わらず,ERCPの検査時間,成功率,術後の高アミラーゼ血症については高齢者,超高齢者群で有意差は認めず,ERCP関連手技は安全に実施出来ていた.胆嚢摘出術後の総胆管結石例もあるため,高齢者に対しての摘出術施行は慎重を要すると考え,引き続き検討を行っていく.
索引用語