セッション情報 口演

総胆管結石治療2

タイトル O-026:

超高齢者においても胆管結石は安全に切石し得る

演者 藤澤 聡郎(NTT東日本関東病院消化器内科)
共同演者 香川 幸一(NTT東日本関東病院消化器内科), 渡邊 俊介(NTT東日本関東病院消化器内科), 久富 勘太郎(NTT東日本関東病院消化器内科), 窪田 賢輔(横浜市立大学消化器内科), 中島 淳(横浜市立大学消化器内科), 松橋 信行(NTT東日本関東病院消化器内科)
抄録 【目的】当院ではこれまで高齢者に対し,患者の状態を十分に配慮しながらも,積極的に切石術を行ってきた.今回,当院での切石治療の成績,偶発症などを解析し,高齢者に対する切石治療の可否とその問題点を検討する.【方法】2008年1月から2012年12月の5年間に施行された初回の内視鏡的胆管結石除去術313例(男性189例,女性124例)を対象とし解析した.対象を1.超高齢者(45例),2.後期高齢者(106例),3.前期高齢者(78例),4.若年者(84例)の4群に分け,各群間における患者背景,結石の大きさと個数,切石成功率,偶発症発症率,乳頭処置,処置後の胆摘の有無,結石再発率などの項目を検討した.【結果】患者背景では超高齢者で男性に比べ女性が多い傾向があり,高齢になるにつれて有意に身長と体重が低下していた.また高齢者で大きな結石を有する傾向があり,その個数も有意に上昇していた.治療前,治療2時間後の血清アミラーゼ値は高齢になるにつれて低下する傾向がみられた.切石治療の成績に関しては,初回治療での完全切石率に各群間で差はなく,ERCP後膵炎,偶発症発症率ともに差は認めなかった.乳頭処置法の比較では超高齢者でEPLBDを,若年者でESTを高率に選択していた.これは超高齢者で結石径が大きく,若年者で膵炎を警戒しているものと考えられた.また,各群間で胆嚢結石の有石率に差はなかったが,後期高齢者以上で胆摘を施行した率が有意に低かった.これは高齢になるに従い併存疾患が増加し,手術の危険性が高くなるために忌避される率が高くなったと考えられた.それに伴い,切石後の胆管結石の再発率が後期高齢者で有意に上昇していた.【結語】超高齢者に対しても患者の状態管理を慎重に行えば若年者と同じく安全に根治的切石術が施行でき,大結石の多い高齢者にはEPLBDが有効であると考えられた.超高齢者ではその併存疾患により胆摘が困難な場合が多く,胆管結石再発の危険が高い為,定期的な観察が必要である.
索引用語