セッション情報 口演

総胆管結石治療2

タイトル O-028:

当科における高齢者総胆管結石による急性胆管炎に対する初期治療の検討

演者 川崎 慎太郎(慶應義塾大学消化器内科)
共同演者 山岸 由幸(慶應義塾大学消化器内科), 清野 隆史(慶應義塾大学消化器内科), 松下 美紗子(慶應義塾大学消化器内科), 成瀬 智康(慶應義塾大学消化器内科), 南木 康作(慶應義塾大学消化器内科), 福原 誠一郎(慶應義塾大学消化器内科), 樋口 肇(慶應義塾大学消化器内科), 緒方 晴彦(慶應義塾大学消化器内科), 金井 隆典(慶應義塾大学消化器内科)
抄録 【目的】ガイドラインでは急性胆管炎初期治療における内視鏡的胆管ドレナージが推奨度Aとされている.高齢者において標準的なドレナージ方法は定まっておらず,その安全性,適応などについては各施設の判断に委ねられている.当科では初回内視鏡的ドレナージはENBD留置を基本としている.今回,後期高齢者以降における同治療の有効性,安全性を検討した.【方法】当科において2005年4月より2013年8月までで検討可能であった総胆管結石による急性胆管炎のうち初期治療にENBDを留置した症例を対象に重症度,経過などにつき検討した.【結果】同期間に解析し得た総胆管結石による急性胆管炎に対し緊急ERCP施行例は83例でありうち70例(83.3%)に初期治療としてENBD(全例5Fr pig tailカテーテル)留置を施行した.全体の平均年齢は71.8歳で75歳以上は31例(44.3%)であった.ほぼ全例胆汁培養検査を提出し97%で陽性であり,71%で複数菌が検出された.全例救命ののち追加で結石除去術を行い,その際にはENBD造影を施行している.75歳以上(平均81.4歳)は未満(同64.2歳)と比較し併存疾患(89.3% vs 65.7%),重症例(51.6% vs 15.4%),特に菌血症(51.6% vs 12.8%)を伴う例が有意に多く,中等度項目としては低アルブミン血症例(41.4% vs 18.4%)が有意に多かった.傍乳頭憩室(41.9%),抗血小板薬内服(32.3%)については有意差を認めず,処置後膵炎(16.1% vs 25.6%)も有意差はなかったが少ない傾向にあった.【結論】高齢者総胆管結石による急性胆管炎では基礎疾患を有する例が多く,また容易に菌血症となり低栄養状態を来すため,中等症以上では可及的にドレナージ処置を要する.ENBD留置によるドレナージは安全かつ効果的であり,また培養検査による起因菌同定も容易で,採石術の際には事前に造影検査を行えることで処置時間短縮につながると思われ,初期治療として有用と思われる.
索引用語