セッション情報 口演

総胆管結石内視鏡治療

タイトル O-033:

超高齢者総胆管結石に対する内視鏡治療

演者 清輔 良江(倉敷中央病院消化器内科)
共同演者 石田 悦嗣(倉敷中央病院消化器内科), 吉田 司(倉敷中央病院消化器内科), 久保 敦司(倉敷中央病院消化器内科), 松枝 和宏(倉敷中央病院消化器内科), 山本 博(倉敷中央病院消化器内科)
抄録 【目的】総胆管結石の治療は内視鏡による完全截石が原則であるが,高齢者では様々な要因から截石が困難であることも多く,プラスチックステント(PS)留置も治療選択のひとつとなる.我々は当院における85歳以上の超高齢者総胆管結石症患者の内視鏡治療の有用性と問題点について検討した.【方法】対象は2009年1月から2013年8月まで当施設で初回総胆管結石に対しERCPを施行した850例のうち,85歳以上の超高齢者133例.治療法別に截石群(116例),PS群(17例)に分け,治療成績をretrospectiveに検討した.検討項目は,患者背景,内視鏡施行回数,入院期間,早期偶発症,長期偶発症とした.【結果】年齢,男女比,傍乳頭憩室の有無,胆管径,結石個数は両群で有意差を認めなかった.心臓・脳疾患を有する患者は截石群44.0%,PS群76.5%,抗血栓薬内服率は截石群34.5%,PS群70.6%とPS群に多く,平均最大結石径は截石群9.3mm,PS群13.2mmとPS群で有意に大きかった.胆管炎合併率は截石群62.1%(軽症14.7%,中等症34.5%,重症12.9%),PS群70.6%(軽症17.6%,中等症11.8%,重症41.2%)であり,PS群で重症例が多かった.PS群で截石を行わなかった理由の内訳は巨大結石のため截石困難6例,抗血栓薬内服6例,家族の希望4例,処置中の急変1例であった.平均ERCP施行回数は截石群1.49回,PS群1.12回と截石群で多かったが,平均在院期間は,截石群12.8日,PS群12日で有意差は認めなかった.早期偶発症は截石群5.2%(膵炎4例,出血1例,バスケット陥頓1例),PS群11.8%(膵炎1例,出血1例)で有意差は認めなかったが,長期偶発症は,截石群10.3%(胆管炎1例,総胆管結石再発10例,胆嚢炎1例),PS群35.3%(胆管炎3例(死亡2例),胆嚢炎2例,肝膿瘍1例)とPS群で有意に多かった.【結論】超高齢者総胆管結石に対する内視鏡的截石術は安全に施行可能である.一方で胆管炎を来すと重篤となり死に至ることもあるため,可能な症例では積極的に完全截石を目指すべきであると考える.
索引用語