セッション情報 口演

IBD 1

タイトル O-036:

クローン病患者における抗TNF-α抗体製剤維持投与例の検討~内視鏡的活動度と抗TNF-α抗体製剤の血中濃度を踏まえて~

演者 馬場 重樹(滋賀医科大学消化器内科)
共同演者 今枝 広丞(滋賀医科大学消化器内科), 高橋 憲一郎(滋賀医科大学大学院感染応答免疫調節部門(消化器免疫)), 藤本 剛英(滋賀医科大学大学院感染応答免疫調節部門(消化器免疫)), 伴 宏充(滋賀医科大学消化器内科), 西田 淳史(滋賀医科大学消化器内科), 稲富 理(滋賀医科大学消化器内科), 佐々木 雅也(滋賀医科大学栄養治療部), 辻川 知之(滋賀医科大学総合内科学講座), 藤山 佳秀(滋賀医科大学消化器内科), 安藤 朗(滋賀医科大学大学院感染応答免疫調節部門(消化器免疫))
抄録 【目的】抗TNF-α抗体製剤の登場によりクローン病の治療目標として粘膜治癒が重要視されている.今回,我々は抗TNF-α抗体製剤を維持投与されているクローン病患者のうち,バルーン小腸内視鏡検査にて病変の観察がなされている症例について,抗TNF-α抗体製剤の血中濃度を加味し検討を加えた.【方法】2009年9月より当院において抗TNF-α抗体製剤の維持投与を受けているクローン病患者のうちバルーン小腸内視鏡検査を施行したのべ72症例を対象とした.うちinfliximab(IFX)投与例は46例,adalimumab(ADA)投与例は26例であった.ADA投与26例のうち過去にIFXの投与歴を有する患者は12例であった.バルーン小腸内視鏡検査施行時の採血から抗TNF-α抗体製剤の血中濃度と抗TNF-α抗体製剤に対する抗体濃度測定を施行した.内視鏡スコアにはModified Rutgeerts Score(MRS)を使用し,MRS 0-1の症例を粘膜治癒例,MRS 2-4の症例を潰瘍残存例として取り扱った.【成績】粘膜治癒例は全体の約40%(28/72)に認められた.粘膜治癒例では1例を除き抗TNF-α抗体製剤の血中濃度が十分に認められた.一方,潰瘍残存例では粘膜治癒例と比較すると有意に抗TNF-α抗体製剤に対する抗体とスコープが通過不可能な狭窄の出現頻度を高率に認めた.IFXからADAへのスイッチ症例は46%(12/26)であった.スイッチ症例ではナイーブ症例と比較すると有意にADA血中濃度の低下を認め,また,CRP値,抗ADA抗体値が高い傾向にあった.【結論】粘膜治癒を達成するためには抗TNF-α抗体製剤の血中濃度が十分に保たれていることが必要条件と考えられた.また,有効な血中濃度を得るためには抗TNF-α抗体製剤の投与順序の工夫が必要と考えられた.
索引用語