セッション情報 口演

IBD 1

タイトル O-037:

レミケード増量を要するクローン病の予測因子の検討

演者 稲場 勇平(旭川医科大学内科学講座消化器・血液腫瘍制御内科学分野)
共同演者 藤谷 幹浩(旭川医科大学内科学講座消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 高後 裕(旭川医科大学内科学講座消化器・血液腫瘍制御内科学分野)
抄録 【背景・目的】インフリキシマブ治療はクローン病治療に革命をもたらしたが,治療経過中に効果が減弱するいわゆる二次無効が存在し国内外で活発に議論がなされている.本邦でも,2011年,インフリキシマブの10mg/kgへの増量が承認され,二次無効症例に対して直接的な対処が可能になった.その長期効果を評価するためには二次無効の対策が不可欠となるが,その予知や追加治療に関してはいまだ明らかではない.今回我々はクローン病患者において二次無効によりレミケード増量を要する予測因子を明らかにすることを目的とした.【方法】本検討は,2002年~2013年までに当院で治療を行ったクローン病患者を対象とした.特にレミケード治療によりフォローアップされている82例について,このなかでレミケード治療により二次無効をきたし増量を要した症例に着目し,その予測因子をretrospectiveに検討した.検討項目は,性別,病型,免疫抑制剤使用の有無,レミケードの治療までの罹病期間,手術回数,上部消化管病変の有無,肛門病変の有無である.【結果】レミケードで治療を行い2次無効により増量を要した症例は22/82(27%)であった.単変量解析では,性別,病型,免疫抑制剤の使用の有無,レミケード使用までの罹病期間,手術回数において有意差はなかった.上部消化管病変を認めた症例において有意に二次無効により増量を行っていた(P=0.018),また肛門病変を有する症例でも有意に増量を要した(P=0.017).また多変量解析では,上部消化管病変を有する症例でのみ有意差を認めた(HR 1.91,P=0.03).【結論】上部消化管病変や肛門病変を有するクローン病患者において二次無効によりレミケードの増量を要する症例が多く存在し,予測因子であると考えられた.このような症例は疾患活動性が高い傾向にあり,厳重なフォローアップを行い白血球除去療法,栄養療法との併用など,長期の寛解維持を達成させるための適切な薬剤選択,適切な増量のタイミングを明らかにする必要がある.
索引用語