セッション情報 口演

IBD 1

タイトル O-038:

クローン病におけるCT enteroclysis/enterographyを用いた病態評価の可能性

演者 橋本 真一(山口大学消化器病態内科学)
共同演者 白澤 友宏(山口大学消化器病態内科学), 横田 恭之(山口大学消化器病態内科学), 柴田 大明(山口大学消化器病態内科学), 金山 郷子(山口大学消化器病態内科学), 坂井田 功(山口大学消化器病態内科学)
抄録 【目的】クローン病は小腸にも高頻度に病変を認めるが,狭窄を合併する頻度が高いため,カプセルおよびバルーン内視鏡による病態評価が困難な症例も多く経験する.当院では2008年より新たな小腸検査法として,腸管を等張性緩下剤で拡張しDynamic CTを撮影するCT enteroclysis/enterography(CTE)を実施している.欧米ではクローン病の病態評価に有用であるとの報告が多数なされているが,本邦での報告は少ない.クローン病の治療方針を決定する上で,粘膜治癒の判定と,狭窄,瘻孔,腹腔内膿瘍等の手術を考慮すべき合併症の除外が重要と考えられ,それらに対するCTEの診断能について検討した.【方法】当科にてクローン病患者に対して施行したCTEのうち,内視鏡もしくは手術摘出標本で粘膜の状態が確認可能であった39件について検討を行った.CTE所見は,早期相での腸管壁濃染,腸管周囲脂肪織濃度上昇・血管明瞭化を認めた場合を活動期群(A群),壁肥厚はあるがA群の所見を認めない場合は治癒群(H群)とした.【成績】CTE所見より31件がA群,8件がH群と判定された.CDAIはA群で平均196.1,H群で平均79.1とA群で有意に活動性が高かった.狭窄の合併率はA群80.6%,H群25.0%であり,A群で有意に合併率が高かった.瘻孔と腹腔内膿瘍はA群にのみ認められ,H群では合併例はなかった.粘膜面の所見は,A群では活動性潰瘍93.6%(29/31件),びらん3.2%(1/31件),粘膜治癒3.2%(1/31件)であり,H群では活動性潰瘍12.5%(1/8件),びらん25.0%(2/8件),粘膜治癒62.5%(5/8件)と活動性潰瘍と粘膜治癒で有意差を認めた.CTE施行後に手術を施行した症例では,切除範囲や術式決定に有用な情報を術前にCTEから得ることができた.【結論】CTEはクローン病の治療方針決定に有用な幅広い情報が得られるため,新たな病態評価法となりうる可能性が示唆された.CTEはX線被曝の問題があるため,現在当院において被曝低減CTを用いた検討も行っている.
索引用語