セッション情報 口演

IBD 2

タイトル O-039:

炎症性腸疾患合併妊娠の治療と周産期合併症に関する後方視的検討

演者 飯塚 友紀(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター)
共同演者 国崎 玲子(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 岩佐 美穂(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 山口 唯史(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 松本 大海(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 呉 蓉榕(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 曾原 雅子(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 岡田 真央(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 稲沢 真(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 稲垣 尚子(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 佐々木 智彦(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 山本 壽恵(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 高 蓮浩(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 木村 英明(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 山口 瑞穂(横浜市立大学附属市民総合医療センター・総合周産期母子医療センター), 倉澤 健太郎(横浜市立大学附属市民総合医療センター・総合周産期母子医療センター), 奥田 美加(横浜市立大学附属市民総合医療センター・総合周産期母子医療センター), 高橋 恒男(横浜市立大学附属市民総合医療センター・総合周産期母子医療センター), 大庭 真梨(横浜市立大学附属市民総合医療センター・臨床統計学・疫学教室), 前田 愼(横浜市立大学大学院医学研究科・消化器内科学)
抄録 【目的】炎症性腸疾患(IBD)は,妊娠適齢期に好発する.欧米ではIBD合併妊娠の周産期合併症の最大の危険因子は疾患活動性とする意見が主流となってきたが,本邦の検討は少ない.当院のIBD合併妊娠における周産期合併症と,疾患活動性,投与薬剤の種類,投与量との関連を,妊娠期別に後方視的に検討する.【方法】対象:2000年~2013年6月に当科で通院加療中の20~50歳IBD女性患者のうち,診療録から妊娠中の治療内容・分娩状況を正確に把握しえた106分娩(潰瘍性大腸炎(UC)86件,クローン病(CD)20件).妊娠期別に疾患活動性,投与されたIBD治療薬の種類と量と,周産期合併症の出現率を後方視的に検討,基礎疾患がない単胎400分娩と比較した.【結果】IBD全体で早産と低出生体重児(SGA)を高率に認めた(早産:p=0.016,SGA:p=0.053).疾患別の検討では,CDでは有意差を認めず,UCで有意に高率だった(早産:p=0.022,SGA:p=0.090).早産とSGAの合併率は,投薬により寛解を維持したIBD群で低く,活動期妊娠群で高かった.治療薬の種類と量との検討では,妊娠期間全体を通じてステロイド投与例で,早産とSGAの出現率が高率だった.チオプリン製投与例では,早産とSGAを認めず,抗TNFα抗体投与例では早産を認めなかった.【結論】過去の欧米の報告と同様に,当院におけるIBD合併妊娠,特にUCで,早産,SGAの増加を認めた.IBD合併妊娠の早産,SGAの危険因子は疾患活動性と推測され,治療により疾患活動性をコントロールすることが最優先されると思われた.
索引用語