セッション情報 口演

IBD 2

タイトル O-040:

クローン病切除腸管に対する水浸法超音波(US)所見と肉眼的所見の比較検討

演者 谷口 勝城(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター)
共同演者 国崎 玲子(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 稲垣 尚子(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 佐々木 智彦(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 高 蓮浩(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 田 鐘寛(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 木村 英明(横浜市立大学附属市民総合医療センター・炎症性腸疾患(IBD)センター), 沼田 和司(横浜市立大学附属市民総合医療センター・消化器病センター), 田中 克明(横浜市立大学附属市民総合医療センター・消化器病センター), 前田 愼(横浜市立大学大学院医学研究科・消化器内科学)
抄録 【目的】クローン病(以下CD)の適切な治療には,画像検査による腸管病変のモニタリングが不可欠である.対外式超音波検査(US)は,低侵襲で繰り返し検査が可能でCDの経過観察に有用性が高いが,水浸法による基礎的検討は少ない.CDの切除腸管に対する水浸法USから,1.CD病変拾い上げのための壁厚のカットオフ値を算出する.2.CDの縦走潰瘍を反映し短軸観察で楔状低エコー帯を認める“FD(focal disappearance)sign”幅から,病変の活動性の推測が可能か検討する.【方法】当院で腸管病変を切除したCD23例,26検体,130部位に対して水浸法USを施行,壁厚を算出し正常部と各病変部位との比較を行った.各病変の壁厚を分散分析を用いて解析し,壁厚およびFD sign幅のカットオフ値を定義するためROC曲線を作製した.【結果】1.壁厚:形態別の平均値(mm)は,正常:3.97,縦走潰瘍瘢痕:4.96,活動性縦走潰瘍:5.76,開放性不整潰瘍:5.88,敷石像:8.88,線維性狭窄:6.52.敷石像(p<0.001)および線維性狭窄(p=0.011)は正常部と有意差を認めた.ROC曲線を用いた解析:壁厚5.0mm以上を病変部とすると,特異度0.7143,感度0.6923(AUC=0.7509).2.縦走潰瘍の活動性別に検討したFD sign幅は,潰瘍瘢痕:2.43,活動性潰瘍:6.36mmで両者に有意差を認めた(p=0.001).活動性縦走潰瘍を3mm以上とすると感度1.000,特異度0.833であった(AUC=0.968).【結論】水浸法US検査で壁厚5mm以上とすると,感度69%,特異度71%でCD病変の拾い上げ可能だった.またFD sign幅3mm以上で,活動性の潰瘍を感度100%,特異度83%で診断可能であった.USは高い診断精度でCD病変の拾い上げや活動性評価が可能で,今後内視鏡検査の代替となりえるか検討していきたい.
索引用語