セッション情報 口演

IBD 2

タイトル O-041:

クローン病における腸管不全発症症例の検討

演者 羽根田 祥(東北大学生体調節外科)
共同演者 長尾 宗紀(東北大学生体調節外科), 工藤 克昌(東北大学生体調節外科), 神山 篤史(東北大学生体調節外科), 森川 孝則(東北大学大学院消化器外科), 武者 宏昭(東北大学生体調節外科), 阿部 友哉(東北大学生体調節外科), 田中 直樹(東北大学生体調節外科), 大沼 忍(東北大学生体調節外科), 佐々木 宏之(東北大学生体調節外科), 青木 豪(東北大学大学院消化器外科), 唐澤 秀明(東北大学生体調節外科), 元井 冬彦(東北大学大学院消化器外科), 吉田 寛(東北大学大学院消化器外科), 林 洋毅(東北大学大学院消化器外科), 岡田 恭穂(東北大学大学院消化器外科), 中川 圭(東北大学大学院消化器外科), 片寄 友(東北大学大学院統合がん治療外科), 内藤 剛(東北大学生体調節外科), 海野 倫明(東北大学大学院消化器外科)
抄録 【はじめに】クローン病(CD)は難治性の疾患であり,複数回の開腹手術を必要とすることが多い.IF症例では在宅中心静脈療法(HPN)が導入されることが多いが,感染などの合併症を引き起こすことも多く,注意が必要となる.当院でのCDにおけるIF症例を検討した.【目的】IFを発症したCDにおける現状・問題点について検討する.【対象・方法】1973年~2012年7月にCDの腸管病変に対する初回手術を当院で施行し,その後IFを発症した16例について,累積IF発症率,ポート合併症について検討した.全例皮下埋め込み型カテーテル(ポート)を用いてHPNを行っている.【結果】男性:13例,女性:3例の計16例.CDの発症年齢は20歳(14-39),初回手術時年齢は25歳(19-52)であった.IFの発症時年齢は34歳(28-66)で,CD発症後17年(7-29),初回手術後9年(2-20)に発症しており,腸管病変に対する手術回数は3回(1-5)であった.残存小腸長は145cm(100-280),小腸ストーマ症例が2例,結腸ストーマが4例,回盲部が切除されている症例が15例であり,全大腸が使用できている症例はなかった.ポートの感染率は1.13(回/1000日)(0-11.8)であり,ポート閉塞を3回,ポート破損を1回認めた.死亡例は2例あり,いずれも癌死であった(以上の数値は中央値).当院での全CD症例280例で検討すると,累積IF発症率は初回手術後10年で約7%,20年で約18%であった.【まとめ】累積IF発症率は初回手術後20年で2割近くに達し,若年で発症している症例も認められた.また,ポート感染は2~3年に1回の割合で発生しており,ポート抜去・再挿入を要することも少なくなかった.CDの長期予後の改善のためにはIFについて今後もさらに検討していく必要がある.
索引用語