セッション情報 口演

カプセル内視鏡

タイトル O-047:

パテンシーカプセルの臨床応用に関する新たな展開「小腸狭窄性病変が疑われる非クローン病患者への適応拡大」

演者 中野 誠(広島大学病院内視鏡診療科)
共同演者 岡 志郎(広島大学病院内視鏡診療科), 茶山 一彰(広島大学病院消化器代謝内科)
抄録 【目的】2012年7月にパテンシーカプセル(PC)が保険収載され「小腸疾患が既知又は疑われる患者」に対してカプセル内視鏡検査(CE)が適応となった.現在,PCは主にクローン病(CD)患者に対して施行されているが,小腸狭窄性病変が疑われる非CD患者に対してPC使用の報告はほとんどない.今回,非CDの小腸狭窄性病変が疑われる患者に対するPCの臨床的有用性について明らかにする.【方法】2012年7月から2013年9月に,当科にてPCを施行した非CD群10例(男性7例,平均年齢48歳)を対象とした.対照として同時期にPCを施行したCD群(疑い例を含む)13例(男性10例,平均年齢35歳)を用いて,検査動機,PC小腸通過の有無,偶発症,最終診断について比較検討した.全例PC前に体外式腹部超音波検査(TUS)あるいは腹部CT検査を施行し,小腸停滞の有無はPC内服30時間後に腹部X線あるいはTUSで確認した.【結果】検査動機は,非CD群:TUS/CTにて小腸壁肥厚9例(90%),イレウス既往1例(10%),CD群:CD既知小腸病変の経過観察11例(85%),CD疑い精査2例(15%)であった.非CD群3例(30%),CD群8例(62%)でPCが小腸内に停滞していた.PCによる偶発症は1例も認めなかった.PC停滞例に対してダブルバルーン内視鏡検査を施行し,非CD群2例(66%),CD群7例(88%)に小腸狭窄病変(スコープ通過不可)を認めた.PC小腸通過例(非CD群7例,CD群5例)のうち,非CD群5例,CD群4例でCEを施行したが,CE停滞を1例も認めなかった.非CD群の最終診断は,好酸球性小腸炎2例,非特異的潰瘍2例,悪性リンパ腫1例,腸結核1例,虚血性小腸炎1例であった.【結語】PCはCD患者のみならず小腸狭窄性病変が疑われる非CD患者にも安全に施行でき,CEとDBEの選択に有用であった.
索引用語