セッション情報 口演

門脈圧亢進症1

タイトル O-050:

肝予備能からみたバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)の有用性

演者 富山 恭行(川崎医科大学肝胆膵内科学)
共同演者 吉岡 奈穂子(川崎医科大学肝胆膵内科学), 小山 展子(川崎医科大学肝胆膵内科学), 佐々木 恭(川崎医科大学肝胆膵内科学), 中島 義博(川崎医科大学肝胆膵内科学), 河瀬 智哉(川崎医科大学肝胆膵内科学), 仁科 惣治(川崎医科大学肝胆膵内科学), 原 裕一(川崎医科大学肝胆膵内科学), 日野 啓輔(川崎医科大学肝胆膵内科学)
抄録 【目的】バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)は一般的にはChild-Pugh(C-P)Cは適応外とされている一方で,肝予備能改善効果も報告されている.今回当科で経験したB-RTO症例の治療成績を解析し,B-RTO後の肝予備能への影響から治療適応について検討することを目的とした.
【方法】2000年から2013年までの期間でB-RTOを施行した41例のうち,治療完遂例かつ6ヵ月以上の経過観察をしえた27例を対象とし,治療成績,有害事象,生存率,食道静脈瘤(EV)の増悪率,ならびに肝予備能の経時的変化について検討した.
【結果】平均年齢63歳,男女比19/8,平均観察期間27.7ヶ月で,背景肝は全例肝硬変であった.C-P scoreは5/6/7/8/9/10点がそれぞれ3/5/4/5/4/6例であった.施行理由は胃静脈瘤(GV)出血後12例,予防治療12例,シャント脳症3例であった.GVに対する治療効果は24例中23例(96%),シャント脳症は3例中3例(100%)と良好な治療成績が得られた.Grade3以上の有害事象を認めた4例(15%)のうち,2例はC-P score 10点の症例で一過性に腹水の増悪を認めた.累積生存率(1/3/5年)は73/66/44%であり,C-P score10点の3例を含む死亡例11例のうち,治療関連死は認めなかった.EV増悪は6例(22%)に認め,累積増悪率(1/3/5年)は13/48/61%であった.C-P scoreはB-RTO後6ヵ月以降で有意に低下し,肝機能検査値はC-P scoreに関わらず経時的に改善傾向を示した.一方C-P score改善群では有意に若年でアルコール性が多く,HCC合併例が少なかった.またB-RTO後のBCAA製剤開始例が有意に多く,アルブミンの上昇はBCAA製剤内服が関与している可能性も示唆された.
【結論】B-RTOはC-P score10点の肝機能不良例においても忍容性が高く,特に出血例においては考慮すべき治療法と思われた.一方,B-RTOそのものの肝予備能改善効果については交絡因子の影響も無視できず,前向きの比較試験による評価が必要と思われた.
索引用語