セッション情報 口演

門脈圧亢進症1

タイトル O-051:

バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)にて治療した門脈大循環シャントを有した肝性脳症の検討

演者 姫野 愛子(大阪警察病院内科)
共同演者 上間 遼太郎(大阪警察病院内科), 佐藤 克彦(大阪警察病院内科), 占部 真貴子(大阪警察病院内科), 妻野 恵理(大阪警察病院内科), 堀江 真以(大阪警察病院内科), 大嶋 太郎(大阪警察病院内科), 景山 宏之(大阪警察病院内科), 宇田 創(大阪警察病院内科), 村田 真衣子(大阪警察病院内科), 山口 真二郎(大阪警察病院内科), 宮竹 英希(大阪警察病院内科), 水谷 昌代(大阪警察病院内科), 岡田 章良(大阪警察病院内科), 河相 直樹(大阪警察病院内科), 森木 健生(大阪警察病院放射線診断科), 前田 弘彰(大阪警察病院放射線診断科), 西田 義記(大阪警察病院放射線診断科), 尾下 正秀(大阪警察病院内科)
抄録 【目的】バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(balloon-occluded retrograde transvenous obliteration,以下BRTO)は,胃静脈瘤や門脈大循環シャントに伴う肝性脳症の治療に対して広く行われてきている.今回,当院においてBRTOにて肝性脳症を治療した症例に関し検討したので報告する.
【対象】2008年より肝性脳症の治療にBRTOを施行した肝硬変患者9名(男:女=6:3,年齢52~85歳,成因:HCV2名,alcohol3名,HBV・HCV重複,PBC,NASH,成因不明が各1名,Child分類A:B:C=1:5:3).
【成績】(1)当該期間にBRTOを施行した症例は42例.胃静脈瘤が33名(緊急止血例11名,予防例22名)で,9名(21%)が肝性脳症であった.(2)肝性脳症の原因となる門脈大循環シャントは,胃腎シャント4名,脾腎シャント3名,門脈肝静脈シャント1名,腸間膜静脈下大静脈シャント1名.(3)内視鏡所見は食道静脈瘤を5名に,胃静脈瘤を2名に認めたが,2名は静脈瘤はなかった.(4)治療後にはアンモニア値は全例低下し(治療前:302±96,治療後:49±35),Child-Pugh scoreは7名で改善した(治療前:8.8±1.6,治療後:7.8±1.4).(5)BRTO後の入院期間は15.6±7.8日(中央値13日).3名が治療後に肝性脳症で再入院となり,2名が食道静脈瘤の治療を行った.
【まとめ】当院での肝性脳症に対してBRTO施行例から上記の成績をえた.一時的にせよ,全例において脳症は改善し,多くの症例でChild-Pugh scoreは低下したことから,BRTOは門脈大循環シャントに伴う肝性脳症例に対して有効な治療である.胃静脈治療例との比較を含め,若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語