セッション情報 口演

門脈圧亢進症1

タイトル O-052:

TIPSによる食道静脈瘤内視鏡像の変化

演者 福田 健(日本医科大学消化器内科学)
共同演者 楢原 義之(日本医科大学消化器内科学), 金沢 秀典(日本医科大学消化器内科学), 中川 愛(日本医科大学消化器内科学), 安良岡 高志(日本医科大学消化器内科学), 橋本 知美(日本医科大学消化器内科学), 糸川 典夫(日本医科大学消化器内科学), 枡 卓史(日本医科大学消化器内科学), 張本 滉智(日本医科大学消化器内科学), 松下 洋子(日本医科大学消化器内科学), 城所 秀子(日本医科大学消化器内科学), 厚川 正則(日本医科大学消化器内科学), 金子 恵子(日本医科大学消化器内科学), 中塚 雄久(日本医科大学消化器内科学), 川本 智章(日本医科大学消化器内科学), 坂本 長逸(日本医科大学消化器内科学)
抄録 【背景】TIPSは難治性食道静脈瘤破裂の止血および食道静脈瘤破裂の待期的治療として有効とされている.【目的】TIPSによる門脈圧低下が食道静脈瘤内視鏡像へ及ぼす効果を明らかにする.【対象】各種適応にてTIPSを施行し術前・1週後・4週後に内視鏡検査を行いえた肝硬変41例.TIPSの適応は食道静脈瘤破裂が33例,難治性腹水4例,その他4例であった.【方法】食道静脈瘤内視鏡所見についてはF因子とRCサインについて検討し,それぞれ0から3までの4段階に区分しスコア化した.門脈下大静脈圧較差(直接門脈圧-下大静脈圧:PSG)を門脈圧とした.【結果】(1)術前F1;3例,F2;23例,F3;15例,RC 0;1例,RC1+;11例,RC2+;13例,RC3+;16例であった.(2)TIPSによりPSGは21.9±3.7mmHgから9.3±3.5mmHgへ低下し,24例(59%)が術後PSG10mmHg未満(Hemodynamic responder:HR)となった(3)F因子平均値は術前2.3±0.6から1週後1.5±0.9,4週後1.0±0.9へと有意に改善した.(4)RCサイン平均値は術前2.1±0.9から1週後0.8±1.0,4週後0.2±0.5へと有意に改善した.(5)4週後には,F0;17例,F1;8例,F2;15例,F3;1例,RC 0;35例,RC1+;4例,RC2+;2例となった.(5)HR群は非HR群にくらべ4週後にはF因子,RCサイン共より大きな改善が得られた.(6)4週後にF2,F3が残存した群(16例)のPSGは10.5±3.3mmHgであり,F0,F1となった群の8.6±3.4mmHgにくらべ有意に高値であった.【結語】TIPSは食道静脈瘤を良く改善したが,術後PSG高値例には食道静脈瘤の残存が見られた.F因子にくらべRCサインの改善が早期から顕著であった.術後1週より4週でより大きな改善が認められた.
索引用語