セッション情報 口演

門脈圧亢進症2

タイトル O-054:

当科における1型肝腎症候群症例の検討

演者 橋本 知実(日本医科大学消化器内科学)
共同演者 楢原 義之(日本医科大学消化器内科学), 金沢 秀典(金澤病院), 安良岡 高志(博慈会記念総合病院), 中川 愛(日本医科大学千葉北総病院), 糸川 典夫(日本医科大学千葉北総病院), 近藤 千紗(日本医科大学千葉北総病院), 張本 滉智(同愛記念病院), 福田 健(日本医科大学消化器内科学), 松下 洋子(日本医科大学消化器内科学), 城所 秀子(日本医科大学武蔵小杉病院), 厚川 正則(日本医科大学千葉北総病院), 金子 恵子(日本医科大学消化器内科学), 中塚 雄久(日本医科大学武蔵小杉病院), 川本 智章(日本医科大学消化器内科学), 坂本 長逸(日本医科大学消化器内科学)
抄録 【目的】1型肝腎症候群(HRS)は肝硬変末期に合併する機能的腎不全であり,生存期間中央値は約2週間と不良である.本邦ではInternational Ascites Club(IAC)の診断基準により診断された1型HRSの報告は少なく,その実態は依然不明である.そこで当科における1型HRS症例の実態についてretrospectiveに検討を行った.【方法】2005年1月から2012年1月までに当科に入院したのべ1235例の肝硬変患者のうち,入院時あるいは入院中にクレアチニンが1.5mg/dl以上を呈した腎障害合併肝硬変患者174例を対象とした.1型HRSはIACの診断基準により診断した.【結果】1.腎障害合併例のうち急性腎障害は127例に認め,このうち32例が1型HRSであった.2.1型HRSのChild-Pugh scoreは12.5点,T-Bilは13.9mg/dl,PTは38.1%であり,クレアチニンは3.12mg/dl,クレアチニンクリアランスは11.8ml/min,尿量および尿中Na排泄量は低下していた.3.1型HRSの誘因は,感染症21例,腹水穿刺7例,消化管出血1例,アルコール性肝炎1例,不明2例であった.4.1型HRSの治療として,アルブミン投与25例,terlipressin投与12例,ドパミン投与11例,ノルアドレナリン投与3例,血液濾過透析施行1例が行われた.5.Terlipressin以外の通常治療を行なった20例は全例死亡した.平均生存期間は15日であり,累積生存率は14日30.0±10.2%,30日15.0±8.0%,60日5.0±4.9%であった.【結論】1型HRSは肝硬変患者の急性腎障害合併例の25%にみられ,重度な肝腎不全を呈していた.通常治療では平均生存期間は15日と予後不良であった.
索引用語